電事連会長「何としても原発再稼働実現へ」 再稼働なければ「発送電分離の延期も」と注文

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保有原発全3基の再稼働メドが立たない日本原子力発電の今後について、八木氏は、「原電は重要な会社。まずは経営を効率化し、そのうえで今後のあり方について電力会社から知恵を出したい」と説明。現状では、「具体的に検討しているわけではない」と語った。

原電は12年度から卸電力販売量ゼロが続くが、販売先の大手電力5社との契約上、販売量に関係なく支払いを受ける基本料金によって何とか食いつないでいる状況。しかし、こうした契約を毎年更新することは大手電力にとって大きな負担であり、リスクとなる。廃炉専業化の道を含め、原電の経営抜本改革が今年の大きな課題となるのは間違いない。

「通信とのセット販売も大きなメニュー」

「今年こそ早期に稼働を」と八木誠・電気連合事業会会長(写真は2014年9月の会見時。撮影:梅谷秀司)

電力・ガス小売りの全面自由化に向けた関電としての対応に関しては、「ガスを含めて垣根を越えた自由化が進む。関電としては、電気とグループ事業(ガス、通信子会社など)を通じてトータルのソリューションを提供することで、顧客に選ばれる事業者でありたい」と言い、「通信とのセット販売も大きなメニューになりうる」と語った。

他社とのアライアンスについては、「互いの強みを生かすウィンウィンの関係があれば拒むものではない」と前向きの姿勢を示した。関電の自由化戦略を巡っては、東京電力と中部電力との包括提携に対抗し、東京ガスとの提携交渉が取りざたされているが、「具体的なものはない」と答えるにとどめた。

関電は現在、経産省に家庭向け電気料金の再値上げを申請している。家庭向けは平均10.23%引き上げ、経産省の認可がいらない企業向けは平均13.93%再値上げする方針で、今年4月からの予定。経産省の審査次第で値上げ幅は多少圧縮される可能性があるが、自由化分野の企業向けでは契約流出の加速も予想される。

八木氏も「価格競争力低下は否めない。価格優先の顧客が他社に替わるのは残念だが、やむを得ない」と語った。関電としては、経営効率化を深掘りするとともに、原子力規制委員会の審査が終盤に差し掛かった高浜3、4号機が再値上げ申請の前提(今年11月)より早期に再稼働すれば、「値下げで還元したい」と述べた。

中村 稔 東洋経済 編集委員
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