小学生誘拐殺害予告「愉快犯」で片づけられない訳 日本全国の23自治体に脅迫メールの異常事態

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異常事態をどう理解してどう対応すればいいのでしょうか(写真:YUMIK/PIXTA)

「全国各地の自治体あてに小学生誘拐殺害の予告メールが送られている」。まるで刑事ドラマのような信じがたいニュースが報じられました。

6月2日に放送された情報番組『スッキリ』(日本テレビ系)の調査では、「18道府県23自治体(北海道1、青森県1、宮城県6、群馬県1、茨城県1、埼玉県1、千葉県1、神奈川県1、山梨県1、静岡県1、岡山県1、広島県1、鳥取県1、島根県1、佐賀県1、長崎県1、熊本県1、鹿児島県1)に脅迫メールが送られた」という事実が存在するなど、異常事態であることは間違いないでしょう。

しかし、これほどの異常事態であるにもかかわらず、各局が朝から夜遅くまで放送している報道・情報番組での扱いは、ごくわずかにとどまりました。「ウクライナ情勢」「誤送金の阿武町が住民説明会」「中国・上海がロックダウン解除」「エリザベス女王 在位70周年」「BTSホワイトハウス訪問」「韓国の観光ビザを求める大行列」などのニュースは多くの番組が報じていますが、「小学生誘拐殺害予告メール」はほとんど見かけなかったのです。

このような報道格差は、なぜ起きたのでしょうか。また、「小学生誘拐殺害予告メール」というニュースにはどんな特徴があり、どんな対応が求められているのでしょうか。

自治体の問い合わせフォームを使用

前述したようにさほど報じられていない理由として推察されるのは、主に「悪質な行為だが、犯行手口に粗さがあるなど、愉快犯の可能性が高そうなこと」「営利の要求がなく、実害も出ていないこと」「東京と大阪の2大都市が含まれていないこと」の3点。ストレートニュースとして報じるだけなら問題ないものの、「特集として放送するほどの内容なのか」は微妙であり、取材もしづらいという背景が浮かびます。

次に犯行手口の特徴は、主に「脅迫メールは役所の問い合わせフォームから送られていること」「文面は『下校中』『女子小学生』『誘拐』という共通のフレーズがあること」「その多くが29日の19時台から21時台に集中していること」「犯行予告日は関東周辺が5月31日、中国・九州が6月1日に集中していること」の4点。

問い合わせフォームを使っている以上、同じ文面での一斉送信はできませんし、入力必須項目を埋めなければ送信できません。それだけ手間がかかる問い合わせフォームを使ったのは、「各自治体のメールアドレスを調べられないから」という後ろ向きな理由の可能性も考えられます。

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