異例だった「BTSホワイトハウス訪問」の深い意味 政治担当の記者たちでさえ撮影に夢中になった
アメリカ大統領執務室(オーバルオフィス)に、外交官や政府要人ではなく、異国のアーティストが入室した。バイデン大統領が、アジアでしか知られていない「指ハート」で記念撮影した。ホワイトハウス記者会見室の記者らが取材そっちのけで、一斉にスマホ撮影ーー。
今や世界的な人気グループとなった韓国のBTSは5月31日(アメリカ東部時間)、ホワイトハウス訪問で「初めて」尽くしの記録を作った。もちろん、アジア系のミュージシャンで招待されたのも極めて異例だとされる。
BTSの後に会見室に登場した国家経済会議(NEC)のブライアン・ディーズ委員長は、興奮冷めやらぬ会場にやや気まずそうに現れ「家に帰って子どもたちにBTSが僕の前に場を温めてくれたよ、と言えそうだよ」と切り出した。
3月の銃撃事件でも声明を出していた
5月31日は、アジア系アメリカ人のルーツを学ぶ「アジアン・アメリカン・パシフィック・アイランダー(AAPI)月間」の最後の日。パシフィック・アイランダーは、サモアなど太平洋諸島出身を指す。この日に、K-POPのBTSがホワイトハウスに招待されたのは、まったくの驚きだった。AAPIの上下院議員や、日系人で人種問題活動家である俳優ジョージ・タケイ氏などが招待されるなら、納得できる。
しかし、BTSは、すでに活動家としての「顔」を持っていた。彼らのメッセージは、アーティストであるがためにアジア系を超えて影響力がある。ホワイトハウスが彼らを招待した狙いはそこにあった。
例えば昨年3月16日、南部ジョージア州アトランタのマッサージ・スパが白人男性に次々に銃撃され、死亡した8人のうち6人がアジア系女性だった。
この際、BTSはTwitterで声明を出し、AP通信などが一斉に報じた。
「愛する人々を失った方々に深い哀悼の意をお送りします。私たちは、あなたたちの悲しみと怒りを感じます」
「私たちもアジア系として偏見にあった時のことを思い出します。何の理由もなく罵られることに耐えなくてはならず、見た目についてからかわれました。さらに『アジア系なのに、なぜ英語を話すのか』とさえ聞かれました」
「私たちは、人種差別に対して立ち上がります」
このツイートは250万人が「いいね」をし、100万人がリツイートしている。
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