中国「ロックダウンで物流大混乱」日本への影響度 EMSの代替先を探し問い合わせ殺到の企業も

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朱さんによると、とくに大変なのは政策が突然変わることと、ドライバー不足だという。

4月下旬には同社の貨物中継拠点がある山東省で感染が拡大し、突然貨物の受け入れが停止した。1万件の荷物が行き場を失い、北京に降ろそうにもトラックのドライバーが確保できない。最終的に遠く離れた河南省に運ぶこととなった。

高速道路の規制も厳しく、多くの地域で通行証を持っているドライバーしか走行できなくなっている。複数の省の通行証を所有しているドライバーがほとんどいないことから、省や市をまたいで荷物を輸送するのが困難になり、通常の3~4倍の報酬をもってしても運び手が見つからない。3、4月は省の境界に近いパーキングエリアで運転手を交代し、どうにか荷物を運んだという。

「上海は通関がだめ。深センなら運べるけど、営業所まで取りに行けるか。そんな話の繰り返し。お客様の問い合わせにも私たちも『こうです』と言えることが少なく、現場は苦労しています。コストが増大しているからと言って配送料を上げることもできず使命感や責任感で日々乗り切っています」(朱さん)

物流のリスクはくすぶり続ける

国家郵政局によると、中国の宅配企業の4月の配達件数は前年同期比11.9%減の74億8000万件、配送収入は同10.1%減少し740億5000万元だった。

ECの隆盛で宅配需要が右肩上がりで増えている中で、減少は異例だ。SFホールディングスの4月の宅配物取扱い件数も前年同期比10%減少し、運びたくても運べない苦境が浮き彫りになっている。

3月28日に封鎖された上海は感染が徐々に落ち着き、6月1日にはロックダウンが実質的に解除された。空港や港湾の機能も正常化に向かい、中国の郵政当局は、上海市内の個人宛てEMSの引き受け・配達を5月25日に段階的に再開した。

ただ、中国がゼロコロナ政策にこだわる限り、物流機能が麻痺するリスクはくすぶり続ける。SFの東京オフィスも個人消費者の問い合わせや配送依頼が今後も増えると見込み、情報共有体制の強化や消費者向けの通関ガイドの作成を進めている。

浦上 早苗 経済ジャーナリスト

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うらがみ さなえ / Sanae Uragami

早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で講師。2016年夏以降東京で、執筆、翻訳、教育など。中国メディアとの関わりが多いので、複数媒体で経済ニュースを翻訳、執筆。法政大学MBA兼任講師(コミュニケーション・マネジメント)。新書に『新型コロナVS中国14億人』(小学館新書)。
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公式サイト: https://uragami-sanae.jimdosite.com/
 

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