名鉄とJRどっちが優位?「名古屋近郊」の競合区間 スピードや運賃、利便性を区間ごとに比較

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また、名豊間には両社が格安な企画商品(割引切符)を発売している。名鉄の「なごや特割2平日」は1780円(設定区間、豊橋ー金山ー名鉄名古屋)、「名古屋特割2土休日」(同)は1560円。JRの「名古屋往復きっぷ」・「豊橋往復きっぷ」は平日1900円・土休日1560円(同、豊橋ー豊川・二川ー名古屋市内)で、平日だと名鉄が少し安い。さらに名鉄には、料金360円でくつろげる特別車のサービスがある。対するJRは企画商品に片道プラス、平日520円・土休日400円で新幹線に乗れる〝超特急サービス〟が目玉だ。新幹線は「ひかり」だと最速19分、名鉄は名豊間のインターシティでは歯が立たない。割引切符の営業制度は各社で異なるが、JRには厳しい制限があり、名鉄は使いやすさがポイントだ。詳しくはコラムを参照されたい。なお、名鉄の伊奈ー神宮前間はルートがJRと異なるため、名鉄は同区間内での企画商品(同)は設定していない。

普通運賃、名鉄は優位のようだが…

豊橋ー岐阜間の大人普通運賃は、JRが1980円で名鉄の1500円より480円も高い。しかし、区間別ではJRが国鉄時代から大都市圏特定運賃を導入している名古屋ー岐阜間で470円と名鉄の570円より100円、名古屋ー尾張一宮間は300円で名鉄の380円より80円安い。

名古屋以東では岡崎ー名古屋間620円(名鉄は東岡崎発着で680円)、安城ー名古屋間480円(名鉄は新安城発着で570円、西尾線・南安城発着で620円)、金山ー名古屋間170円(名鉄190円)などなど、対名古屋との主要区間では名鉄より安い区間が多い。

豊橋ー名古屋間は名鉄の1140円に対し、距離の長いJRが1340円と200円高い。同区間に大都市圏特定運賃の設定はないが、JRは名古屋ー豊橋間に2005年1月8日、「どこよりも安く、JR。」のキャッチコピーで前述の企画商品、往復タイプの激安割引切符を設定、名鉄との〝運賃の壁〟に挑戦した。迎え撃った名鉄は、同年2月1日からJRと同じ金額の割引切符を発売。商品名は前述の通りで、設定区間は名鉄名古屋・金山ー豊橋間に限定した。この時、JRはキャッチコピーを「どこよりも速く、便利に、JR」に変更。「どこよりも安い、JR」は〝24日天下〟に終わったのである。

通勤・通学に便利な1カ月の定期運賃を比較してみると、豊橋ー名古屋間の通勤はJR3万4730円・名鉄2万6050円。通学の場合はJRだと大学生が1万7640円・高校生は1万5870円、名鉄はどちらも8380円で名鉄が激安!

名古屋ー岐阜間の同は、通勤がJR1万3620円・名鉄1万7120円、通学ではJRが大学生7770円・高校生6990円、名鉄はどちらも6070円と安い。名岐間は通勤定期だとJRが安いが、通学は名鉄の方が安くなってしまう。

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