「経済的弱者は自己責任」論争の知られてない本質 新自由主義者は「助ける必要ない」とは言ってない

自己責任論とニート・フリーター
♀:経済的弱者ってどうなってしまうのですか? 弱者は自己責任なんですかね……?
仲正昌樹(以下、仲正):そういう場合の「自己責任」って、どういう意味でしょうか?
「自己責任」というのは文字どおりに取れば、「自分のしたことに対して、自分で責任を取ること」を意味するはずですが、「弱者であることに対して責任を取れ」なんて言っている人いますか?
「新自由主義は、弱者に自己責任を押し付ける」という言い方をする人がいますが、政治家や財界人、経済学者で「弱者は自己責任だ」なんて言っている人を見たことありますか? 新自由主義批判の人が言っているほど、「自己責任」という言葉は、権力者や企業家の側からは使われていませんよ。
この言葉の使い方については、「『自己責任』って一体何なんだ?」(『諸君!』2009年1月号)という文章で論じたので、詳しくはそちらを見てほしいのですが、いわゆる新自由主義者たちが自己責任という言葉を使うのは主として、「自己責任で、市場での競争に参加すべきだ」という文脈においてです。
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