日本株を覆う「3つの霧」は徐々に晴れてきている 新たな霧も発生したが「大事」には至らない?

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一方、この間、新たな霧も発生している。「中国のゼロコロナ政策」の行き詰まりだ。株式マーケットは、3月28日から始まった上海のロックダウン(都市封鎖)を受け、中国経済が致命的な打撃を受ける可能性を心配している。

すでに習近平国家主席は、5月5日に共産党最高指導部の会議で演説し、「わが国の防疫政策を疑い、否定するあらゆる言動と断固戦う」と宣言している。それを受け、上海市でも急遽、市・区で「大上海防衛戦必勝動員会」を開き、一段と厳しい姿勢でゼロコロナに臨む決意を表明したようだ。

どうやら、中国は感染を抑え込み「上海市民の勝利」を皆でたたえ合う未来しかゴールを描いていないようだ。だが、習近平主席にとっては「必要な犠牲」であり、決して敗北ではないだろう。

なぜなら、同氏にとってゼロコロナ政策は、新型コロナウイルスを抑え込み、北京五輪を成功させた大きな看板政策であり、面子(メンツ)がある。しかも「欧米に比べ、中国製のワクチンは効かない」との報道もあり、そう簡単にこの政策を止めるわけにはいかないようだ。

この背景にはもちろん、今年秋(10~11月)に開催予定の「中国共産党大会」がある。ここで習近平主席は「党総書記」のまま5年延長(3期目続投)か、「党主席制」を導入する予定なのだ。

世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長が「持続可能ではない」と事実上の方向転換を促しても、「中国は世界でコロナ対策で最も成功している国家のひとつ」(外務省)という見解を変えるつもりはない。

中国のコロナ収束がいつになるかは今のところ特定できない。だが、上海市が「6月中に市民生活や企業活動の正常化を目指す」などと表明しているとおり、早ければ6~7月、遅くとも10~11月の「中国共産党大会」にはコロナが収まるとみている。この霧は今が最悪であり、やはり徐々に晴れてくると見る。

日本から新たな光?「インベスト・イン・キシダ」

最後に、「インベスト・イン・キシダ」に触れたい。5月5日に岸田文雄首相は、英国の金融街シティーで「日本はこれからも力強く成長を続ける。安心して投資をしてほしい。インベスト・イン・キシダ(岸田に投資を)」と日本への積極投資を呼びかけた。安倍晋三元首相がアメリカのNY証券取引所で呼びかけた「バイ・マイ・アベノミクス(アベノミクスは買い)」を彷彿とさせる演説をした。

この「新しい資本主義」の中身は7月10日に予定されている参議院選挙の前までにハッキリするだろう。「改革」(リフォーム)は日本株マーケットに新たな光となるはずだ。これは、海外投資家が大好きなキーワードだからだ。暑い夏になることを期待したい。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

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