日本株を覆う「3つの霧」は徐々に晴れてきている 新たな霧も発生したが「大事」には至らない?

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その前に、改めて今年のFOMCの流れを整理してみよう。そもそも、ジェローム・パウエルFRB議長は2021年夏にインフレ圧力は「一時的」だと強調していた。だが、2022年1月26日のFOMCで「マクロ環境に応じて謙虚かつ機敏に政策変更する」と方針転換を示し、3月利上げを示唆。そしてそのとおり、3月16日のFOMCで0.25%利上げを開始した。

4月5日にはラエル・ブレイナードFRB理事(当時)から「念入りに利上げを進める」「5月にも早いペースでQTを始める」「インフレが数値で正当化されれば、より強い行動をとる用意がある」など、利上げとQTを積極的に進めると受け取れるタカ派的発言があった。

その翌日の4月6日には3月FOMC議事要旨が公表された。ここではQTは前回(2017年開始)の2倍以上のペースで進めることも示され、ブレイナード理事だけでなく、FRB全体がタカ派だと確認された。また、その後は5月のFOMC会合からQTを開始(月950億ドル上限、3年間)することが明確になった(実際には6月から開始)。

これらが決め手となって、10年国債利回りは急上昇。株式マーケットには急落に拍車がかかり、4月12日の日経平均株価は2万6334円まで下落した。だが、4月13・14日の2日間で日経平均株価は急騰しており、FOMCでの利上げやQTの霧は、短期的には晴れた。その後、5月4日のFOMC(連邦公開市場委員会)では通常の2倍となる0.5%の利上げと、国債などの保有資産を減らすQTの6月開始を決めた。

パウエルFRB議長は記者会見でアメリカ国民向けにインフレ抑止に強い決意を示した。具体的には、今後数回(少なくとも2回)の0.5%利上げを予告。景気を加速させたり、冷やしたりしない金利水準(中立金利)を上回る利上げを示唆した。今後のソフトランディングの実現性を注視したい。

「企業決算の霧」も5月中旬までに晴れてきた?

「企業決算の霧」も大分晴れてきた。5月も中下旬にさしかかり、国内上場企業(3月期本決算企業)の決算発表や説明会も最終盤だ。円安や資源価格上昇の恩恵を受けた企業を中心に、前2022年3月期の上場企業の決算は全体でも大幅増益となった。

もちろん注目は新年度の会社計画だ。為替やコストアップ要因などを厳しく見積もり、当初のアナリストのコンセンサス予想から下方修正され、短期的には株価が下落する企業も多くなっている。だが、それが保守的な会社計画によるものなら、結局は悪材料出尽くしとなりそうだ(逆に、期待できないのは算出が困難などの理由で「非開示」とした企業だ)。

特に期待できるのは、前年のハードルが高い企業だ。第1四半期(4~6月)に続き、上期(4~9月)いっぱいまでは前年同期比マイナスで推移していても、下期以降は、原燃料高の落ち着き、価格転嫁、半導体不足をはじめとするサプライチェーンの混乱収束などが見込める企業についてはかなりの業績回復が期待できそうだ。

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