ウォール街の債券強気派は年初から打ちのめされてきた。だが、市場のセンチメントは過去1週間にインフレ懸念から成長懸念に顕著な転換を遂げた。こうした状況を背景に、迫り来る経済波乱を乗り切ろうと、債券市場に回帰するつわものも少数ながら現れ始めている。
債券相場に弱気疲れの兆し
市場ベースの米インフレ期待は過去数年ぶりの高水準から鈍化し、米国とドイツ、イタリア、英国の名目利回りは低下した。同時に、4月の米消費者物価指数(CPI)が予想を上回る伸びとなっても持続的な売りにつながらなかったことは、弱気相場疲れのサインと言えそうだ。
インフレ高進圧力が世界的な広がりを見せる中で、世界の主要市場のいずれにおいても利回りがピークに達したと確信を持つ投資家は皆無だろう。一方で、米連邦準備制度による積極的な金融引き締めが景気減速を招き、世界の資産全般に影響が波及しかねないことを踏まえれば、債券が引き続き強力なヘッジの手段になるとの議論もある。
ロンドンを拠点とし債券を専門とするトウェンティフォー・アセット・マネジメントのパートナー、マーク・ホルマン氏は「当社は米国債購入を始めたばかりだ。米国債利回りがこれほどまでに上昇したのはとても喜ばしい」と話した。