お米が狙い目?「悪い円安140円時代」への心構え 経済ジャーナリストが断言「値下がりはない」
例えば、日本に輸入される小麦は、政府が買い付けてから国内の製粉会社に配分する仕組みがある。その売り渡し価格が、今年4月からの半年の間、なんと17・3%も引き上げられた。
これはこれまでで2番目の高水準。おもな産地のアメリカやカナダでの気候不順による不作も影響しているというが、ウクライナ情勢の長期化が予想されるなかでは、10月以降の改善も難しい。
ロシアとウクライナも世界最大級の小麦生産国。その大穀倉地が、戦争で大きな影響を受けるはめになるのだから、しばらくの間は世界全体で小麦の値上がりは避けられない。日本の小麦価格も当然、上がる。
最近では、中国でのコロナ再流行の影響も。
「穀物系は争奪戦。コロナを封じ込めるために上海をロックダウンしたことで、経済が滞る影響がいわれていますが、実はそのなかで、中国は国民の食糧確保のため、大胆な買い占めに走っている。大豆などは、世界の供給量の51%までが中国に押さえられたという話さえあります」
需要と供給のバランスが大きく崩れるなか、高騰していく穀物の相場。そこに、すっかり安くなった円で勝負を挑んでいかなければならないのが今の日本だ。
家計はさらに悪化、打つ手はあるのか
消費支出のなかで、食料費が占める割合を指すのが「エンゲル係数」。2020年にはその割合は24%から26%へと上昇している。収入が大きく増える可能性は少ないのに、支出ばかりがかさむ一方。
「今後値上がりはあっても、値下がりはない。さらに苦しい時代となるのはまちがいない。家計のやりくりも、思いつく限りの工夫が必要でしょう。例えばしばらくはお米を積極的に食べるようにするとか。
新型コロナで外食が壊滅状態になったことでコメの在庫が積み上がり、今は値段も安い。お茶碗1杯分でも20円くらいですみます。原料の小麦が値上がりしているパンを食べるよりはずっと割安ですから」
デメリットが多く「悪い円安」と表現される現況。企業も家庭もコストカットの知恵が試される。
(取材・文/オフィス三銃士)
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