「働きたい専業ママ」の未来は明るい! 人手不足に悩む企業にとっても救世主に

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M字カーブ――。日本女性の労働力率のグラフは、30代の子育て期に落ち込むM字の形を描く。M字のくぼみは10年前に比べると確かに小さくなってきてはいる。それでもまだ、日本の30代女性の労働力率は70%に満たず、ほかの先進国と比べても際立って低い。スウェーデン、ドイツ、フランスなどがいずれも80%を超えているにもかかわらず、だ。

出産後も仕事を続けるワーキングマザーも増えてはいる。大都市圏では待機児童問題が解消すべき喫緊の課題として取り上げられる。だが、未就学児の育児をしている女性の有業率は、東京都でも50.0%、神奈川県では41.1%でしかない(厚生労働省「就業構造基本調査」2012年)。全国的にみても、結婚前に仕事していた女性を100とすると、第1子出産後も就業を継続している女性は32.8%でしかないのだ(厚生労働省「第10回21世紀成年者縦断調査」2011年)。

だが、M字カーブのくぼみにある当の女性たちは、決して働きたくなくて働いていないわけではない。多くの女性は前職での経験とキャリアを持ち、心の中では働き続けたいという気持ちを抱きながら、働くことがままならない状況にモヤモヤを抱えている。

「子育て中の主婦にアンケートを取ると、半分くらいは『今すぐ働きたい』わけではない。でもよく聞いてみると、その背景には『今の働き方ではきつすぎて、そこまでして働きたくはない』という声がある。ゼロか100かを問われて、100では選べないというだけなんです」

東京都調布市でママのためのコワーキングスペース「cococi」を運営するポラリスの代表・市川望美さんはこう話す。企業の第一線で活躍していた女性ほど、子どもがいることで以前のようなパフォーマンスを発揮できないのではないか、周囲に迷惑をかけるのではないかと不安を覚える。また、離職後のブランクが長くなるほどその不安は大きくなり、働くことへのハードルは高くなる。

そして、ブランクがあることを理由に、再就職ママを端から相手にしない採用担当者がいることも事実だ。まず、それだけで書類で落とされる。運良く面接まで進んでも、「残業ができません」と言えば担当者の表情が変わる。就職活動中のママたちは多かれ少なかれこんな目にあっている。

ブランクは空白期間じゃない

「ブランクはキャリアにはならないのでしょうか。決してそんなことはありません。"ギャップイヤー"を生かした新たなキャリアを築くことができるチャンスでもあるんです」

集まったママたちに向けて、NPO法人Arrow Arrowの宇佐美香乃子さんが力説する。Arrow Arrowは国分寺市と協働で、再就職を目指すママが実際に企業で職場体験を行う「ママインターン」事業を行っている。離職しているママの再就職は精神的にもハードルが高い。それでも「働きたい」と思う女性に向け、今の自分の価値やスキルを再発見するとともに、社会人としての感覚を思い出してもらうプログラムだ。

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