「学歴」が起業家の成否を決定付ける要素でない訳 一流大中退→ユニコーン企業が王道なのか?
聞いたことがないような大学の卒業者もいる。ゲーム/コミュニケーションのプラットフォーム、ディスコード(Discord)の共同創業者でCEOのジェイソン・シトロンはフルセイル大学で学位を受けた。ほとんど知られていない大学だが、フロリダ州ウィンターパークにあり、メディアとアートに特化し、音響工学のような課程がある。
シトロンは大学に入ったときからプログラミングに熱中していて、フルセイル大学のゲームデザイン課程に登録した。大学卒業後はゲームスタジオに就職し、iPhoneのアプリをつくるようになり、モバイルゲームのデザインで賞を受賞した。
10億ドル達成企業の創業者を輩出している大学
平均すると、10億ドル達成企業の創業者は、ランキング上位の大学を卒業している。グローバル大学ランキングで、卒業大学のランク中央値は27位、通常のスタートアップ企業では74位だ。ほぼ3倍であり、上位ランクの大学に行っていた人のほうが、10億ドル達成企業を生む確率は高い。これが私がデータから最初に導き出した、10億ドル達成企業グループと無作為グループの違いの1つである。
トップレベルの大学に行っていた創業者の成功については、複雑な要因がある。評価の高い大学の卒業者はおそらく、あまり有名でない大学の卒業者よりも、名の通った投資家の目に留まりやすい。そうした創業者は高収入の家庭で育つなど、スタートアップが失敗しても、手厚い支援とセーフティネットを持っていたり、優秀な人材をスカウトできたりする可能性もある。
とはいえ10億ドル達成企業の創業者には、ランキング上位校に通っていなかった人も多い。そして、だからといって起業で苦労したわけではないと指摘しておく価値はあるだろう。先述のように10億ドル達成企業の創業者で、トップ10の大学に行っていた人と、100位にも入らない大学に行っていた人の数は同じくらいなのだ。
こうして見ていくと、スタートアップ業界は、起業家の学歴、特に学位についてはあまり関係ないのかもしれない。とはいえ他の業界では、採用のとき教育と大学名が名刺代わりに使われることがあるため、いまだ必須の要件である。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら