ランドセル選び「GWがピーク」親もヘトヘトの実態 年々早まり「年中さん」から検討する人もいる

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ランドセル業界では、コロナ禍を機に、来店できない人のためにランドセルを自宅に配送する貸し出しサービスを行っているメーカーも多い。ただ、送ってもらえるのは通常1つのため、背負い比べはできない。

メーカー側からすると、1つのランドセルを送って、試着して、返送してもらうと最低でも3日はかかり効率はよくない。しかも、店頭では想定しない傷がつくこともあり、当初は無料サービスだったメーカーでも、今は1000〜3000円程度の有料サービスとして行っているところが増えた。

「オンライン商談やランドセルの自宅への貸し出しサービスを利用しているママ友もいたが、わが家はやっぱり背負い比べしてみたいので、店頭に行くことにこだわった。店頭のほうが子どもの心変わりにも対処できるし、6年間大事に使うという自覚のためにもちゃんと目の前でお金を払っているところを見せたい」(秋元さん)と、やはり店頭で手に取って見たいという需要は大きい。

6月までに購入した人は約4割

伊勢丹新宿本店では5、6年前までGWに販売を開始していたが、徐々に早まり、昨年は4月1日、今年は初めて3月にランドセルの販売を開始した。特設サイトの開設は12月だったという。ECサイトの品ぞろえは1000個にのぼる。それと合わせて、三越伊勢丹グループでは、全国9都市で「ランドセルフェスティバル」を企画。伊勢丹新宿本店ではGW(4月27日〜5月5日)に開催している。

「10数年前は秋が販売のピークだったが、それが祖父母と一緒に来られるお盆がピークに変わり、2、3年前からGWがピークになった」(森田さん)という。

ランドセル工業会の調査によると、単月だけでみると2021年までは8月に購入した人が最も多かったが、2022年は5月が最多となり、6月までに購入した人は43.3%にものぼる。しかも32.1%が年中の3月以前に検討を開始している。

なお、コロナはランドセル選びにも大きな影響を与えた。2020年4月最初の緊急事態宣言で百貨店などが休業する中、唯一訪れた1店舗で購入したという草野友美さん(仮名/埼玉県在住)は、「もうちょっと悩んだりする時間を楽しめたらよかった」と当時を振り返る。

「コロナ対策が厳重な時期だったので、ずらっと並んだたくさんの種類、色の中から選ぶということがかなわず、いろいろ背負えなかったことが心残り。唯一訪れた1店舗でも、試しに背負って戻すとすぐその場で消毒していたので、何度も手に取るのが申し訳なくてそそくさと決めてしまいました」。この先コロナがどうなるか、先が見えない中で早々に決断するしかなかったと悔しい思いを口にする。

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