ベトナム初「ハノイ都市鉄道」で渋滞解消なるか 待望の開業、バイクに慣れた市民は利用する?
一方、ホーチミン市で最初に開業すると目されている1号線(19.7km)は、同市の渋滞緩和を目的としてJICAの協力により整備されており、2012年から建設工事が進んでいる。ベトナム国営ゼネコンと住友商事などの日本企業が共同事業体を組んでの取り組みで、建設から車両納入、信号システムの整備等が行われている。こちらもコロナ禍の影響で開業が遅れているものの、現状では2022年半ばに試験運転を開始、2023年には乗客を乗せて走ることになりそうだ。
したがって、ベトナムの都市鉄道敷設プロジェクトを俯瞰すると、それぞれ最初の開業路線に関しては、ハノイは中国、ホーチミンは日本と分け合った格好となっている。
ちなみに東京メトロは2016年、ハノイメトロの運営会社と「友好と協力に関する覚書」を締結しており、2017年にはハノイに都市鉄道コンサルティングを行うベトナム法人を設立している。また、今年2月には「ベトナム国鉄道学校における都市鉄道研修能力強化プロジェクト」をJICAから受注したと発表した。一方、東京メトロによると、今回開業したハノイメトロ2A号線については建設・運営に直接関与はしていないという。
2A号線開業が8年遅れた理由
2A号線の敷設プロジェクトは2008年、ベトナムの交通・運輸省が実行を承認した。当初は2013年に開業とするプランを打ち出していた。しかし、線路や駅を建設する用地の収用に手間取ったことから、ほどなくして2011年着工、2015年完成とする修正プランを発表した。だが、着工後にも設計の変更を要するなどでさらなる遅れが生じた。
その後、ようやく2018年9月に3カ月間の試験運転を実施し、「これでいよいよ2019年のテト(ベトナムで祝われる旧正月)連休には運行開始」と目されたものの、各駅の建設が遅れていたことが判明し、これも夢と消えた。
さらに、2020年春以降世界中に広がったコロナ禍もメトロ開通に足かせとなった。オペレーターに引き渡す前の最終確認を担当する中国のエンジニアが、国境封鎖でベトナムに入れないという問題が発生。開業遅れに追い討ちをかけた。
これらの複合的な要因により、2A号線は当初のプロジェクト承認段階で打ち出していた「2013年開通」の目標から実に8年も遅れての開業となったわけだ。
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