スシロー社長に"再生請負人"、この意味は? コンサル出身のプロ経営者が経営トップに
かつて上場企業だったスシローは、2007年に筆頭株主となったゼンショーと経営路線を巡って対立。2008年に日系投資ファンドのユニゾンキャピタルと提携し、翌年に同社によるTOB(株式公開買い付け)を受け、上場廃止となった。
ユニゾン傘下で売り上げを伸ばし、2010年度はかっぱ寿司を抜き、回転ずし業界の首位に立った。その後、ユニゾンは2012年9月に保有する全株式を欧州系の投資ファンドであるペルミラに売却している。
ただ、ペルミラの傘下に移った前後から、徐々に潮目が変わり始めた。売上高は毎期、過去最高を記録しているものの、2013年9月期は7%増、2014年9月期は6%増と、その伸び率は年々鈍化している。豊崎社長はかつて東洋経済の取材に「2020年に売上高2000億円が目標」と語っていたが、そのためには今後、毎年8%の売上高成長率を維持する必要がある。
「リストラは成長戦略」が持論
高成長を続けていた時のスシローは、豊崎社長とマッキンゼー出身でユニゾンから送りこまれた加藤智治・取締役専務執行役員が両輪となり、会社を牽引していた。だが、その加藤氏も昨年2月末で同社を去った。
ある業界関係者は、今回の人事の背景を「ワントップとして豊崎さんが残ったが、業績の伸びが鈍化している。ファンドがテコ入れに動いたのではないか」と推測する。
最高顧問に就く豊崎社長だが、その業務内容は「今後は企業理念である“うまいすしを、腹一杯。うまいすしで、心も一杯”を継承し、水留さんをサポートしていく」と、はっきりしない。
一方、水留氏はただのコンサル出身の経営者ではない。過去には『リストラクチャリング』(2001年、東洋経済新報社刊)という著書を出したこともあり、得意分野は経営再建とみられる。同書の冒頭で水留氏は「リストラクチャリングの本質は成長戦略だ」と高らかに謳い上げている。その手腕はJAL再建で折り紙付きだ。
2003年、上場した当初スシローの売上高は300億円に満たなかった。その後、1皿100円の低価格を武器に驚異的な成長を遂げた。いよいよ成長率が鈍る中で“リストラのプロ”のトップ就任は何を物語るのか。スシローの経営が新たなステージに移ろうとしていることだけは確かだ。
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