池上氏解説「米国vs中国が険悪」日本はどうなる? 両国の厳しい対立は日本にも大きく関係する

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そこでアメリカは21年9月、イギリス、オーストラリアと3カ国でオーカスという枠組みを発足させました。それぞれの国(「Australia」「United Kingdom」「UnitedStates」)の頭文字を取ってオーカス(AUKUS)です。

日本は憲法上の制約から軍事面での協力には限度があり、インドは非同盟主義です。この点を考慮して、中国の動きを抑えるため3カ国で軍事同盟を作ったのです。

一連の動きに中国も反応し始めている

一連の動きに中国も反応し、早速新たな動きを見せ始めました。

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アメリカが中国包囲網を作るというなら、その中国包囲網をさらに外側から包囲するような新たな包囲網を作ろうということで、反米ネットワーク作りに余念がありません。

ロシアとの関係を強化し、トルコやイラン、さらに中東のアラブ諸国の中でバイデン政権になってからアメリカとの関係がギクシャクしている国などを取り込んで、アメリカ包囲網を作ろうとしています。

世界を舞台にアメリカと中国がそれぞれ包囲網を作ろうと動いていて、地球レベルで今、それぞれが陣地の取り合いをしている。それが現在の状況です。そういうなかで日本はどう行動するのかが今まさに問われているのです。

池上 彰 ジャーナリスト

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いけがみ あきら / Akira Ikegami

1950年、長野県生まれ。1973年慶應義塾大学卒業後NHK入局。ロッキード事件、日航ジャンボ機墜落事故など取材経験を重ね、後にキャスターも担当。1994~2005年「週刊こどもニュース」でお父さん役を務めた。2005年より、フリージャーナリストとして多方面で活躍中。東京工業大学リベラルアーツセンター教授を経て、現在、東京工業大学特命教授。名城大学教授。2013年、第5回伊丹十三賞受賞。2016年、第64回菊池寛賞受賞(テレビ東京選挙特番チームと共同受賞)。著書に『伝える力』 (PHPビジネス新書)、『おとなの教養』(NHK出版新書)、『そうだったのか!現代史』(集英社文庫)、『世界を動かす巨人たち〈政治家編〉』(集英社新書)など。

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