池上氏解説「米国vs中国が険悪」日本はどうなる? 両国の厳しい対立は日本にも大きく関係する

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したがって、いざというときは、アメリカは国内の法律に基づいて台湾を助けようとします。そうなれば必然的に台湾をめぐってアメリカと中国が衝突することになり、米中間の戦争になりかねないということです。

2021年3月、アメリカ軍の司令官が「今後6年以内に中国が台湾を侵攻する恐れがある」と発言してニュースになりました。侵攻するとは、軍事攻撃を行うということ。もし中国が台湾に軍事攻撃を仕掛けたら、アメリカはどう動くでしょうか。

日本にある米軍基地から出動

アメリカ軍が台湾を応援するために出動するとなると、どこから出動すると思いますか? 台湾に一番近い沖縄や佐世保、横須賀などの米軍基地から出動するはずです。

今、沖縄からアメリカ軍の船が台湾に向かって出動したとします。中国から見たとき、台湾を攻める上でアメリカの船は邪魔になるため、おそらくこれを攻撃するでしょう。もし沖縄から出港した直後にアメリカの船が中国から攻撃されたら、日本の自衛隊はどうしますか? 黙って見ていますか?

別のシナリオも考えられます。沖縄からアメリカ軍が出動するということになれば、中国はその前に沖縄の基地にいるアメリカ軍を叩こうとするかもしれない。そのときは沖縄の基地にミサイルが飛んでくることもあり得ます。

この例からもわかるように、私たちは「これはアメリカと中国の台湾をめぐる対立だ」と何となく他人事のように思っているところがありますが、台湾で軍事衝突が起きたら日本も巻き込まれるのです。

そこで近年、日本や世界の国々である取り組みが進んでいます。それが中国包囲網の形成です。

まず、ファイブアイズというのがあります。文字通り「5つの目」のことで、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドが機密情報を共有するために結んだ協定です。この5カ国がお互いに情報を交換しながらスパイ活動での連携を取り合っています。

もう1つが、最近よくニュースに出てくるクアッドです。

クアッド(quad)は英語で「4つの」を意味する言葉。日本、アメリカ、オーストラリア、インドの4カ国で中国に対抗していこうという枠組みです。ただ、4カ国のうちインドの立場は特殊です。

というのは、伝統的にインドは「非同盟主義」といって、特定の陣営に肩入れしない、いわば全方位外交をとってきたからです。中国は脅威ではあるけれども、できれば敵対したくないと考えています。

(同書より)
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