ジェフ・ベゾスが無謀に思えたプライム進めた訳 1ドル札を90セントで売ると批判されても気にせず
早速ファイナンス・チームがこの案を具体的な形に落とし込みましたが、結果は恐ろしいものでした。配送料は高くつきますから、無料になれば顧客が喜ぶのは当然ですが、損益分岐点を割り込んでしまう可能性が高いというのです。12ドルの品物をひとつ買おうが、10ドルの品物をひとつ買おうが配送料は無料で、翌々日に受け取れます。(実際に)設計してみたら、ビジネスモデルとしては、あまりよいものだとは思えませんでした。
ですがそのアイデアが感情と直感を必要とするなら、そこにはリスクを甘んじて受け入れるだけの価値があり、そのまま直感に従って進めていくべきだと考えました。的確な判断は、どんなときでもそのようにして決定されます。
小さな失敗をたくさんしても大きな成功が1つあればいい
それはグループで、謙虚な気持ちをもって取り組むべき問題でした。間違った方向に進もうが悪いことではありません。それはまた別の問題なのです。私たちはたとえばファイアフォンをはじめとして、それ以外にもうまく機能しない、とんでもない品物を作りだしたことさえありました。これまで失敗に終わった実験をいちいち書き連ねるような余裕は、私たちにはありません。ですが小さな失敗をいくらしたところで、何かひとつ大きな成功を収めれば、すべての失敗などたちどころに補ってくれます。
誰もが、プライム会員のようなチャレンジをしてみれば良いのです。もちろん最初はコストがかかります。プライム会員も相当な負担を強いられました。食べ放題プランを始めたら、実際にはどんなことが起こるでしょう? 最初にレストランに現れるのはいったいどんな人でしょう? 大食漢ばかりなら、先行きが心配になります。『そらみたことか、めいっぱい食ってやろうっていう馬鹿な連中が大勢押し寄せるぞって言ったじゃないか』
でも私たちにはある程度の予測がついていました。いろいろなタイプの顧客がやって来て、それぞれがサービスに満足してくれるだろうと。アマゾンプライムはまさに、その通りの結果をもたらしたのです。
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