ジェフ・ベゾスが無謀に思えたプライム進めた訳 1ドル札を90セントで売ると批判されても気にせず

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彼は私たちひとりひとりにインタビューすると、最後に私に向かって言いました。『さてベゾスさん、あなた、プロフィット(profit、利益)という単語の綴(つづ)りくらい分かりますよね』念のために言っておきますが、彼と私は今では仲のいい友人です。そこで私はこう答えました。『もちろんですよ。p-r-o-p-h-e-t(預言者)』。とたんに彼は声を上げて笑い出しました(訳注:株主たちが現在の利益にこだわるのに対して、ベゾスはアマゾンのビジネスは今後必ず成長する、将来価値のあるものだと私は約束すると言うつもりで、預言者と言った)。

人々はいつも、私たちが1ドル札を90セントで売ると非難しては、こう言います。『そりゃ誰だってそうすれば、売り上げくらいあげられるさ』とね。もちろん私たちが実際にそうしているわけではありません。事実、売上総利益は上がっています。固定費の高いビジネスであるのは間違いありません。でも内部の評価指標を見れば分かりますが、ある一定の売上高さえ確保できれば固定費はカバーでき、会社は利益を生み出します。

アマゾンプライムはチームの新人エンジニアが考えた

ルーベンシュタイン:アマゾンプライムは、会員に商品を発送したりサービスを提供したりする前にお金が徴収できる、実に素晴らしい方法だと思いますが、その発想はどこから生まれたのですか?

ベゾス:多くの新たなプログラムはたいていそうですが、これもチーム内部から生まれました。チームで何かを考案していくのは実に楽しい。大好きなプロセスのひとつです。このとき私は、2、3年先を見越して判断するようにしています。ひとりがアイデアを思いつき、別の人間がそれを具体化する。さらに他の誰かから、その案がうまくいかない理由が提示され、みんなでその問題を解決しようと取り組んでいく。わくわくします。

アマゾンプライムについては、いくつかの問題を抱えていました。取締役会のメンバーのひとり、ビング・ゴードンはいつも、一定期間に頻繁にサービスを利用した優良顧客に対し、何らかのサービスを提供すべきだと主張していたので、我々も『ロイヤルティ・プログラム』はどうあるべきか、ずっと考え続けていました。そんなとき、ひとりのまだ経験の浅いソフトウエア・エンジニアが、送料をとらないというまるで食べ放題のバイキングのようなプランを思いついたのです。

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