ジェフ・ベゾスが無謀に思えたプライム進めた訳 1ドル札を90セントで売ると批判されても気にせず

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ルーベンシュタイン:アマゾンの株は、ひところ100ドルまで値上がりしましたが、その後は6ドルまで下がりましたね。金額は正確ではないかもしれませんが、そんなところでしょうか。

ベゾス:インターネットバブル全盛のころは、最高で113ドル。その後バブルがはじけると、6ドルまで下がりました。1年も経たないうちに113ドルから6ドルまで値下がりしたんです。その年の株主向け年次書簡の冒頭は、『やられた!』のひと言でした。

ルーベンシュタイン:ドットコム時代のインターネット関連企業のほとんどが廃業に追い込まれています。アマゾン以外ほぼ全滅と言って良い状況ですね。どうして御社だけが生き残れているのでしょう?

ベゾス:インターネットバブルは、今から見れば非常に興味深い現象でした。株価は企業を評価しているわけではなく、企業は株価で評価できません。私は株価が113ドルから6ドルまで下落するのをこの目で見ながら、会社内部の評価指標、顧客数、商品単位当たり利益など、考えられる限りのあらゆる要素をチェックし続けましたが、いずれの項目も右肩上がり、しかも高い上昇率で推移していました。

つまり株価は誤った方向に進んでいても、会社の内部はすべて正しい方向に進んでいたのです。株価を気にする必要もなければ、資金を調達する必要もない。インターネットバブルの崩壊などによる金融不況下では資金調達は困難でしたが、私たちにはすでに必要な資金が手元にありました。今まで通りに進んでいけば良かったのです。

ルーベンシュタイン:ウォールストリートは言い続けています。『アマゾンには儲けというものがない。顧客数は増えているのに、お金はどこに消えているのか?』と。彼らはこの観点からずっとあなたを批判し続けています。それに対して、あなたはこう返していますね。『どう思われても気にしない』。

ベゾス:ニュースキャスターのトム・ブロコウに呼ばれてテレビ出演したことがあります。そこにはドットコム時代を象徴するインターネット関連事業の起業家たちが、6人ほど集められていました。ちょうどインターネットバブルがはじける直前、もしかしたら直後だったかもしれません。

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