子どもの学力「親が共働きか否か」で差は出るのか 家庭の経済状況で左右される面があり一様でない

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産休と育休にはメリットがあるようで、母親が産休・育休を取得すると赤ちゃんにいい影響があるというエビデンスが増えている。たとえばアメリカでは家族・医療休業法が施行されてから早産児が減り、乳児の死亡率は下がった。母親が仕事に出ず、小さな赤ちゃんと過ごせば、赤ちゃんが病気のときに面倒を見やすいというメカニズムなのかもしれない。

また、妊娠中に問題があった女性が育児休暇をとりやすくなったことが、早産予防につながっているのかもしれない。これに関しては他にも同様の結果が出ていて、研究者は、産前休暇にメリットがあると広く結論づけている。

また、ノルウェーの子どもを対象とした研究では、母親が4カ月間の産休・育休をとった場合のほうが、子どもの学歴が上がり、成人後の収入まで上がった結果が示された。このような長期に及ぶ影響は、経済的に恵まれていない母親の子どもの場合に最大となった。

つまり、もし職場で産休・育休が認められているなら、取得したほうがいいということだ。

保育園の本より「家の本」が発達に重要 

家庭内の大人が全員、外で働くかどうかは、誰にとっても容易に選択できることではない。家計への影響もあり、誰にでも通じるアドバイスをするのはほぼ不可能だ。データからいえるのは(有意なメリットがある産前産後の休暇を除き)、専業主婦・主夫が子どもの成長発達にプラスかマイナスの影響を与えるというエビデンスはあまりないということだ。

つまり、結局は自分の家族にとって何がいちばんうまくいく方法なのかを考えるしかない。それには家計について考えることも必要だが、同時に自分がやりたいことを考えるのも必要だ。

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どちらかの親が子どもと一緒にいたいと思っているのか。ある意味で、それこそがいちばん考えるべきことだろう。

とはいえ、ここで1つお伝えしたいのは、保育園に預けていてもいなくても、親の関わりが重要だということには変わりないという点だ。研究では、親の関わりと子どもの成長発達の結果との強い関連性が何より一貫して指摘されている。

家に本があり、子どもに読み聞かせることのほうが、保育園にどのような本が揃っているかよりも重要なのだ。これは、子どもが起きている間に両親と過ごす時間と保育者と過ごす時間が同じであっても変わらない。子どもに最も一貫した影響を及ぼすのは親であることは確かと言える。

エミリー・オスター ブラウン大学経済学部教授

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Emily Oster

米アイビーリーグの名門校、ブラウン大学経済学部教授。経済学者の両親のもとで育つ。ハーバード大学で統計学を学び、経済学の博士号を取得。開発経済学、医療経済学など幅広い分野の研究成果がメディアで注目され、2007年には有名講演者の登壇するTEDカンファレンスでアフリカのエイズ問題を講演。シカゴ大学ブース・スクール・オブ・ビジネス准教授時代の2013年、自身の妊娠出産で検証した客観的なデータをもとに、著書『お医者さんは教えてくれない 妊娠・出産の常識ウソ・ホント』(東洋経済新報社)を刊行、大反響を呼ぶ。夫は同じブラウン大学教授の経済学者ジェシー・シャピロ。2人の子どもと共にロードアイランド州プロビデンスに在住。

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