広い県内に縦横無尽の路線、新潟ご当地鉄道事情 2つの新幹線・三セクが結ぶ充実のネットワーク

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まずは上越線の旅からはじめよう。上越線は川端康成『雪国』があまりにも有名すぎる上越国境のトンネルを抜けて、群馬県から新潟県に入る。最初の大きな駅は、スキーと温泉の町・越後湯沢だ。

雪原の中を走る上越線。冬は雪との戦いが続く(撮影:鼠入昌史)

越後湯沢は上越新幹線においても重要度の高いターミナルのひとつであり、ガーラ湯沢支線という冬季限定スキー場直結の支線も分かれているくらいだ。越後湯沢駅の周りには温泉宿やスキー場があり、1年を通して観光客がやってくる。

さらに上越線に乗って旅を続けると、車窓からもスキー場またスキー場。バブルの昔、ブーム全盛期にはいくつものスキー客向け臨時列車が走った路線でもある。

在来線特急で最速を誇った

そして越後湯沢駅からは丘陵地をほとんど一直線に抜けて日本海側を目指す第三セクターの路線が出ている。北越急行ほくほく線だ(正確には六日町駅が起点)。ほくほく線は北陸新幹線が開業するまで、首都圏と北陸を結ぶ大幹線の一部を構成していた。その当時、北陸を目指すときには上越新幹線で越後湯沢まで向かい、そこでほくほく線の特急「はくたか」に乗り換えていた。

ほくほく線「はくたか」はかつての首都圏・北陸連絡特急(撮影:鼠入昌史)
上越国境の山々をバックに走る北越急行ほくほく線(撮影:鼠入昌史)

在来線ながら時速160kmで走るまさに“特別”な特急で、そのおかげもあって東京から金沢まで最短3時間40分台。北陸新幹線開業後は約2時間半にまで短縮されたので今からすればだいぶ時間がかかっているが、ほくほく線がまだなかったJRが誕生した頃には4時間半もかかっていたのだからほくほく線の威力はすさまじかった。

しかし、2015年に北陸新幹線が開業するとほくほく線は大動脈としての役割を失って、いまはほとんど地域輸送専業のローカル線。上越線沿線から飯山線と接続する日本一の豪雪地帯・十日町を経て直江津までを結んでいる。特急「はくたか」は失ったが、超快速「スノーラビット」は越後湯沢―直江津間を1時間ちょっとで走り抜け、「はくたか」時代の面目を保っているのだ。

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