「がんでもおしゃれを諦めない」デザイナーの矜持 姉が語る30代の妹を突き動かした強い「思い」

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「deleteCは、がんを治せる病気にしたいという思いのもと、スタートをきりました。アメリカでは治療研究に寄付金の一部が充てられているのに対して、日本にも乳がんの早期発見、治療や患者支援のための募金活動はありますが、どちらかというと啓発活動のイメージが強い。それが理由で、妹は自分の治療に直結しにくいと感じていました。

それであれば、治療につながる活動が続くような仕組みを、と考えていました。それを形にしたのが、deleteCです。活動開始後、がん治療研究を推し進める医師研究者を応援するため、企業とコラボした商品や、寄付につながるSNS投稿の仕組みなど、現在も進化し続けています」

中島さんと小国さんが立ち上げたdeleteC(写真提供:deleteC)

中島さんが精力的に活動を続ける一方で、2020年6月、使っていた抗がん剤が効かなくなる。主治医とアメリカにいるもう1人の医師、そして姉妹4人で話し合った時には、「この先どうなるかわからない」と医師たちは口を揃えた。

「妹は以前からずっと本を出したいと言っていたのですが、使っていた薬の効き目がなくなってきたとわかった時、具体的に本を出す手段を考えたいと言われました。私は妹に本を書くなら、自分の活動や会社のことがわかる虎の巻にしてはどうかと伝えました。例えばこの先、10年、20年会社をつづけることを考えると、バイブルとなるような本があるといいと思ったのです。

それからしばらくして、2021年の1月下旬に、今度は妹の会社のスタッフから『ナオさんの本を作りたい』と連絡があって、2月頭には『1日も早く形にしよう』となったのです。『5月11日の39才の誕生日に出したいね』と話して、そこからは猛ダッシュで進めました。編集者さんを探すより先に本を形にしてくれる印刷屋さんに相談して、そこを頼りに編集者さんを見つけて、ナオカケルのスタッフを中心とした制作チームを組みました」

その本『がんをデザインする』の表紙には、笑顔で「N HEAD WEAR」をかぶる中島さんの姿がある。ページをめくると、帽子や洋服のデザイン紹介ページや、イラスト、中島さんが考えるがんとの付き合い方のデザイン図や、小国氏との対談、高校時代からの親友との対談もある。

もとより「闘病記」を目指していたわけではないが、デザインはそれとは正反対の、中島さんが目指していたおしゃれな、ライフスタイルブックを思わせる。

「闘病中の人にも読んでもらいたいから、長い本はちょっと、と。最初はもうちょっとスタイルブックみたいな要素を入れようと考えていましたが、制作チームとやり取りをする中で、現在の形になった感じです」

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