「ウィル・スミス事件」日本の議論に対する違和感 スミスが黒人のイメージを悪化させていると?

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先ごろ、毎日新聞は日本在住の外国にルーツを持つ人の63%が警察による職務質問の対象になったことがある、と報じた。アメリカでも日本でも、マイノリティであれば、悲しいことに同じような話だ。

そして、もし何か問題が起きれば、集団(肌の色や国籍、あるいは単に「日本人でないこと」で結ばれた集団)全体が、1人の行動によって裁かれることになるわけである。

社会の支配層に合わせる思想

「Respectability Politics」の大きな欠点は、アメリカでは黒人、日本では非日本人のようなマイノリティグループの価値を、そのグループのステレオタイプな特徴や行動を、支配社会側が設定した価値と比較することによって評価すべきだという考えを助長してしまうことだ。

その問題点はわかってもらえただろうか。この考え方は、支配的な集団が少数派の行動を抑えるための手段として展開されることもあるのだ。 これは必然的に抑圧と圧迫につながる。

外国人や日本における少数派の人々はこのために無理やり「役者」になったり、「仮面」をつけたりしているわけである。これは社会的な仮面であり、社会の支配的な側に属する人がより快適に、疎外された人々が支配的な人々により受け入れられるように、本当のアイデンティティ、自分らしい自分、最高の自分を隠すために使われる仮面だ。

しかし、こんなことが可能なわけない。可能だったこともない。人々はどういう形であれ自分であろうとするからだ。前述の63%の人々も同じである。これこそ私にとって重要な問題だ。

バイエ・マクニール 作家

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Baye McNeil

2004年来日。作家として日本での生活に関して2作品上梓したほか、ジャパン・タイムズ紙のコラムニストとして、日本に住むアフリカ系の人々の生活について執筆。また、日本における人種や多様化問題についての講演やワークショップも行っている。ジャズと映画、そしてラーメンをこよなく愛する。現在、第1作を翻訳中。

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