日本人がメタバースの勝者になりえる3つの強み 日本の文化や高給でソシャゲつくった頭脳が生きる

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こういったカルチャーを背景に、デジタルな身体を持っているバーチャルYouTuberが登場したと言える。バーチャルYouTuberが日本で爆発的に盛り上がったことに関して、われわれは誇りに思ったほうがいいと思う。最初のバーチャルビーイングスは日本で誕生したわけではないが、バーチャルYouTuberの人気が日本から始まり、世界に波及しているのはすごいことだ。世界に誇る日本のカルチャーだ。

メタバース時代に魂は遍在する

③魂が遍在する日本特有のカルチャー

3つ目は日本文化の中に古くからある考え方だ。

欧米や中国、韓国でもなく、日本でゲーム・アニメ・マンガが爆発的に発展したのは、この国の歴史と文化のたまものだと僕は思っている。

たとえば僕らは「モノに魂が宿る」ということを自然に受け入れている。日本人は岩や機械にも魂が宿ると考えてきた。モノを大切にしなさいという教育の根幹にあるのも、この魂が宿るという考え方だ。

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さらに肝と言えるのが、1つのモノに複数の魂が宿ることを信じていることだ。2人で1人を演じる二人羽織に象徴される文化だ。同時に、同じ魂が複数の場所に遍在することも当たり前のように受け入れている。

神様は複数いて、同じ神様が別々の場所に同時に存在する。この考え方のオリジンは仏教にあるが、思想の中枢に取り入れ日本人ならではの形にアレンジし、常に柔軟に世界と向き合ってきた。一神教文化に比べて宗教的な縛りもゆるい。

こうした日本人のカルチャーとメンタリティは、バーチャルな思考ととても相性が良い。なぜならメタバース時代においては、魂は遍在するからだ。人間の身体1つに魂が1つという考え方を取り払う必要がある。

メタバースにおいて、単純に物理世界をバーチャルにコピーするのではなく、物理的条件にとらわれないコンテンツ作りをめざす際に、日本特有の文化がプラスに働くはずである。

前回:現実に絶望する人がメタバースに夢を託せる理由(4月12日配信)

加藤 直人 クラスター株式会社 代表取締役CEO

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かとう なおと / Naoto Kato

1988年大阪府生まれ。京都大学理学部で宇宙論と量子物性論を研究。京都大学大学院理学研究科修士課程中退後、約3年間のひきこもり生活を過ごす。2015年にスタートアップ「クラスター」を起業。2017年にVRプラットフォーム「cluster」を公開。clusterは現在アバターを用いたコミュニケーションやオンラインゲームの投稿などができるメタバースプラットフォームへと進化している。

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