誰が世界をデザインするのか? 世界情勢は予想外の混沌へ《田村耕太郎のマルチ・アングル・ビジョン》


 実際、ダボス会議初日にメルケル首相が行った演説では「ユーロ体制堅持」の強い姿勢が強調された。IMFも最大の懸念であるスペイン財政への支援について言及した。ダボス会議の初日から世界はいいニュースに酔い始めていた。

ダボス会議が進むうちに北アフリカ情勢が急速に変化していく。世界のリーダーはチュニジアで起こった政権交代の影響を過小評価していた。事実、ダボス会議初日の中東問題でのセッションではチュニジア、エジプト情勢についてはほとんど言及がなかった。

劇的な変化は、ダボス会議終盤の1月28日金曜日あたりにやってきた。エジプトでのデモの規模が5日間で5倍に拡大したのだ。チュニジアでの政変はエジプトで革命に進化した。30年続いたムバラク政権に終焉の時がやってきた。これは昨年のエジプト国会議員選挙で与党が圧勝(不正が疑われる選挙ではあったが)したときには世界中はもちろん、エジプト国内でも誰も予想できなかったことである。

アラブから始まる不安定な世界

騒ぎは、北アフリカ、中東諸国に広がりつつある。この背景には、もちろん、長い独裁や圧政がある。それを解き放つ起爆剤になったのが、急増する若年人口、彼らに活用されるインターネット、ソーシャルメディア(交流サイト)、そして投機マネーが引き上げてしまった食糧価格がある。

アメリカをはじめとする世界各国が金融危機から脱出するために行った強烈な量的拡大が巨大な投機マネーを生み出した。それが、商品市場に向かい世界の食糧価格を引き上げた。
 
 急増する人口を抱える北アフリカ・中東諸国では若年層への雇用がうまく創出できず、失業率が高まっていた。そこに食糧価格高騰が襲ってきた。若年層の不安と不満は高まる。さらに独裁の内実をウィキリークスが暴露する。それをフェイスブックやツイッターが拡散、先鋭的な報道で名を売りたいアルジャジーラも暴露に加担する。

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