プロボクサーから弁護士になった男の爽快な人生 「学年最下位」の高校時代からの怒涛の進撃
2年間勉強に専念し、司法試験に一発合格
大学3年生の秋。プロボクサーを引退し、司法試験の勉強を本格的にスタートさせた。
大学卒業後は、あえて友達のいない神戸の大学院へ入学。2年間勉強に専念した結果、司法試験に一発合格することができた。
司法試験合格後は半年間、バックパッカーとして世界一周をした。弁護士になる前に、美しい風景も、スラムや犯罪多発地域も、実際に見て触れてみたいと思ったからだ。
北米や中南米、ヨーロッパ、中東、アフリカ、アジアなど約30カ国を旅した。お金は、司法試験合格後に予備校のアルバイトで貯めたお金や、治験に参加。親からも少し援助受けてのものだった。
旅の道中には、命の危機を感じる場面もあった。「インドでニセ警官に銃を突きつけられたんです。口八丁手八丁でどうにか1銭も取られることもなかったけど、死を覚悟しましたね」。
現在は弁護士と活躍している坪井さん。主に、不動産と中小企業の顧問を中心分野として扱っている。
今までの経験を振り返り、どう仕事に活きているだろうか。
「“あの頃に比べたら”という思いが強いですね。1つは、ボクシングをしていたときのハードでストイックな毎日。試合では死を意識して行動しました。偶発的な事故ではなく、リスクがあると知って、あえてリングに立った経験は今でも強い支えになっています。あと、ここぞという勘や勝負所を見抜く力ついたと思います。
インドで銃を突き付けられたときの恐怖感もそうです。世界の危険地帯で味わった体験に比べたら、今の仕事で命をなくすリスクは少ないと思います。
2つ目に、高校時代に落ちこぼれだった経験です。依頼者には法を犯した人や、さまざまなトラブルを抱えている人もいます。でも、どんな依頼者に対しても偏見を持たずに接することができると思います」
弁護士は、トラブルになっている現場の最前線に立つ仕事でもあり、何億という金額が動く裁判を担当することもあるという。一部上場企業の社長と対峙するときは、顧問先の社員、その家族を守るため、プレッシャーも相当なものだそうだ。
しかし、坪井さんの軸はずっとブレない。
「僕の周りから法的なトラブルで、大変な思いをする人をゼロにしたい」
14歳の頃に掲げた夢は叶った。しかし、「まだまだこれから」だと語る坪井さん。自分は守りたい人を守れているだろうか。子どもの頃に憧れたヒーローになれているのだろうか。
しかし、坪井さんが紆余曲折ある中で感じてきた劣等感や孤独、プレッシャー。これらを自ら体験した日々は無駄ではなく、坪井さんの目指す姿に近づくために必要な要素だったように思えてならない。人にとっての土台は何か。強さなのか、優しさなのか。坪井さんの人生から私たちが学べることは少なくない。
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