「インドが好きだと思ったことは一度もありません。海が好きな私は南イタリアに憧れていたのですが、なぜかゴミだらけのコンクリートジャングルの中に住んでいます。でも、夫がいるし、私もここで働いているのがインドにいる理由です。若年層が多い国なので町は汚いけれど活気があり、元気をもらえます」
Zoom画面の向こう側で移住先への愛憎入り混じる感想を述べてくれるのは、西日本出身のクマール麻衣子さん(仮名、35歳)。季節は初春でも日中は気温が20度を超えるらしく、麻衣子さんもノースリーブのニット姿だ。長い黒髪にオシャレな黒縁メガネで、エキゾチックな魅力を発している。
男性に関心をもったのは大学卒業以降
実家から通える地元の大学を卒業した後は、オーストラリアに留学し、帰国後は東京で一人暮らしをしながら働いていた。3人きょうだいの長女である麻衣子さんは気難しい父親との折り合いが悪く、地元に戻る気持ちはない。母親は3年前に病気で他界している。麻衣子さん自身もやや難しい性質があるようだ。
「男性に対して恋愛感情を持ったのは大学を卒業してからです。それまではポッチャリ体型でコンプレックスが強くて内向的でした。今でも社交的ではなく、女友だちも数人しかいません。狭く浅いお付き合いです(笑)。オーストラリアに留学するまでは、男性と付き合うなんて自分とは関係ないと思っていて、ひたすら勉強をして、留学資金を貯めるためのアルバイトに精を出していました」
留学先のオーストラリアでは恋人もできた。相手は日本人でもオーストラリア人でもなく移民。外国人同士の交際である。異文化の人たちとの交流のほうが自分は楽だと気づいた。
「東京でもアウトドアを通じて外国人の男性と知り合って付き合うことが多かったです。急に音信不通になったりと遊ばれてしまったこともあります。夫と出会う前は、男性の遊び相手になるのはもうごめんだと思いつつも同じことの繰り返しでうんざりしていました」
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