インド人と結婚した35歳女性に見る「幸せの尺度」 日系企業のインド法人で働き、現地で婚活

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観光業からより待遇の良いIT業界に転身した麻衣子さんは、日系企業のインド法人で働く機会を得た。職場などで友だちをどんどん作れるタイプではないため、外国人駐在員が多い出会い系サイトに登録。今度こそ本気で結婚相手を探すことにした。

そして出会ったのが1歳年上のインド人であるアミットさん(仮名)。アメリカ企業のオフショア生産要員としてインド国内で働いていて、真面目で温和な男性だった。

「インドの人は結婚に保守的なので、20代のうちにほぼ強制的に親同士が決めたお見合い結婚をさせられることがほとんどです。なぜこんなまともな男性が30代半ばで独身なんだろうと不思議に思いました」

なんと彼は既婚者!

交際を始めてプロポーズされた2カ月後、麻衣子さんの疑問は最悪の形で解消する。アミットさんから「妻とは離婚調停中」だと打ち明けられた。つまり、彼は既婚者だったのだ。

「理由は奥さんの浮気です。でも、COVID-19の影響で調停が大幅に遅れていました。結局、夫が和解金を支払う形で離婚できたようです」

姉が2人いるアミットさんは末っ子長男。麻衣子さんと結婚した今でも両親に「毎日2回」電話するほど家族の絆が強い。最初の結婚は親の意向に従った。しかし、相手の浮気で離婚することになり、親としても「今度は息子の好きな相手を選ばせよう」と思ったようだ。外国人の麻衣子さんがアミットさんと結ばれることができた背景である。

アミットさんが必死で離婚調停をしていた頃、麻衣子さんは帰国して地元に戻らざるをえない状況に追い込まれていた。勤務先から「来年は就労ビザを出さない」と通告されたのだ。事実上の解雇である。インドに行って2年後のことだった。

インドのIT業界での就労経験を3年は積みたいと思っていた麻衣子さん。アミットさんもいるインドに戻るために、日本国内で懸命に就職活動をした。幸いなことにやはり日系企業の現地法人に採用され、就労ビザを取得した。

「単にインドに留まるだけならば結婚すれば可能です。でも、配偶者ビザでは外で働くことはできません」

2021年の春にインドに戻った麻衣子さん。その3カ月後、アミットさんとようやく結婚することができた。街が汚いとこぼしつつ、インドでの生活が気に入っているところもある。一つは医療が発達しており、不妊治療をする際も不安がないことだ。もう一つは生活スペースが広いこと。

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