インド人と結婚した35歳女性に見る「幸せの尺度」 日系企業のインド法人で働き、現地で婚活

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「3LDKの賃貸マンションに2人きりで住んでいます。外の空気があまりに汚いので、1部屋は洗濯物を干しつつ私の仕事部屋です。お客さんを泊められるゲストルームもあります。家賃は28000ルピー(約43000円)です」

今は夜勤で働いているアミットさんは19時半に家を出て会社に行く。その前に仕事場から帰宅する麻衣子さんのために夕食を作って待っていてくれるという。

異文化の中のほうが落ち着く

「平日の夜は1人で寝なければなりませんが、もう慣れました。今までずっと1人だったので何事も2人で進められることが心強いです。土日は手をつないで出かけることもあります。子どもができたら、空気がキレイな国に引っ越したいです」

将来の移住先は日本ではないだろう。麻衣子さんは異文化の中のほうが落ち着く性格で、アミットさんは「もしもし」しか日本語を覚えないほど日本文化に興味がない。夫婦の会話はすべて英語だ。アミットさんの姉の1人は夫と一緒にアメリカで暮らしており、海外生活への抵抗感もない。

「夫の実家はうちから車で5時間のところにあります。国土が広いので、インド人にとっては近いみたいです(笑)。夫の両親は優しい人ですが、義父からは『あなたもそろそろヒンディー語で話す努力をしないと』と言われています。でも、一緒に住んでいるわけではないのでストレスはありません」

2人の小姑との関係は大丈夫なのだろうか。1人はアメリカ在住だが、もう1人は車で1時間の「近所」に住んでいる。

「私は神経質な人だと思われているようで、彼女たちはあまり関わってきません。実際のところ、インドの人を家に迎え入れることは苦手です。この国は裸足とソックスと土足のエリアが明確に分かれていないので……。足を拭かずにベッドに入ろうとする夫とぶつかったこともあります」

Zoomでのインタビューでは麻衣子さんから明朗でさっぱりした印象しか受けなかった。良く言えば「自分がある」女性であり、悪く言えば父親譲りの気難しさと潔癖症の持ち主なのだろう。インドという国ではなく、温和で心優しいアミットさんとの相性が良かったのだと感じた。

本連載に登場してくださる、ご夫婦のうちどちらかが35歳以上で結婚した「晩婚さん」を募集しております。事実婚や同性婚の方も歓迎いたします。お申込みはこちらのフォームよりお願いします。
大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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