新境地に立つ旭ダイヤモンド工業、金脈は太陽電池市場

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 折しも時代はリーマンショック直後の大不況下。太陽電池用シリコンウエハは価格競争が厳しく、製造コストの低減が課題となっていた。「エコメップを導入すれば、ウエハの生産効率を向上できるかもしれない」。ウエハを製造する加工業者が飛びついた。エコメップの10年度の売上高(予想)は90億円と、前年度の24・8億円から急増する見通しだ。

現在のところ同種の製品で爆発的な売り上げを上げているのは旭ダイヤのみ。同業他社が追いつく気配はない。まさに独走状態であり、このエコメップこそが業績急伸の立役者なのだ。

旭ダイヤの創業は1937年。以来、一貫してダイヤモンド工具を製造し、戦前は軍需用品、戦後は高度経済成長に伴う建築土木向け工具で利益を上げてきた。

エコメップの開発を始めたのは7~8年前のこと。同社はもともと、「IDブレード」と呼ばれる半導体ウエハ製造用工具のトップメーカー。しかし90年代以降、コスト削減や効率性追求の影響でウエハが大口径化。ブレードによる加工が困難になった。代わって登場したのが鋼鉄線を用いる手法だが、潤滑油の使用によって大量の産業廃棄物が出るうえ、加工時間も長いという問題を抱えていた。

競合他社はダイヤモンドを樹脂で付着させたワイヤを開発した。旭ダイヤも、IDブレードの需要減を補うための“次の一手”が必要だった。「最初は樹脂と電着の両方を試した。でも樹脂だと後追いになるし、電着のほうが質もよさそう。それで電着に特化した」。生産技術を担当する堀江惣治常務は、当時を振り返る。ただ、開発には時間がかかった。


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