NECとレノボの提携劇、国内ジリ貧で反転攻勢
日中トップのパソコンメーカーがついに手を組んだ。1月27日、NECと中国レノボがパソコン分野などでの提携を発表。6月メドに合弁会社を設立し、出資比率はレノボ51%、NEC49%となる。またレノボが発行する1億7500万ドル(約143億円)の新株をNECが引き受ける見込みだ。
レノボは1984年に北京で設立されたパソコンメーカー。低価格パソコンで力を伸ばし、2010年の出荷台数は前年比37%増の3418万台と、世界第4位の急成長企業だ(IDC調べ)。05年には米IBMのパソコン事業を買収、その拡大意欲は強い。かつてレノボは、NECが手放した米パッカードベルを買おうとした際、ライバルの台湾エイサーに奪われた経緯がある。今度はレノボがNEC本体と組む“大技”に出た。
ただレノボの場合、売上高の半分を中国が占める反面、先進国でのシェアは低い。特に日本ではユーザーが高機能型を求めるなど、特殊な市場を形成している。日本勢の牙城を切り崩すのは難しく、シェアは5%弱にすぎなかった。そのため中国以外の地域へのテコ入れを、次の成長戦略の核に据えているようだ。
一方のNECは、80年代後半から一世を風靡した「PC98」以来、日本ではつねにリーダー的な存在だった。近年、他社の追い上げも厳しいが、現在でも17~18%でトップシェアを守っている。とはいえ、日本市場は世界市場3億台強のうち、1500万台程度と相対的には小さい。
そのNECは海外撤退で輸出がほぼなく、高機能・低価格化が進む国内に頼る構造は、収益的に厳しい状況が続いてきた。前期はパソコン・周辺事業を合わせ黒字化したが、パソコン自体の利益水準は決して高くない。「アイパッド」などのタブレット端末に押され、パソコン需要の伸び悩みも指摘されている。