ノーベル賞で注目「因果推論」登場で起きた大変化 「迷惑メールの振り分け」や「自動翻訳」にも応用
データサイエンスがビジネスで大きな影響を及ぼすようになった理由としては「技術の進歩」もあげられます。
まずはパソコンの能力の進歩です。パソコンの処理能力は急激に高まっており、簡単なデータ分析であれば、パソコンとエクセルなどの表計算ソフトで対応できるようになりました。“機械学習に適したパソコン”という名目で販売されているものもあり、演算処理の多い機械学習ですらパソコンで対応可能です。しかも、10万~20万円程度の予算でも、機械学習に対応できるパソコンもあり、容量の大きな画像データを扱わなければ、低予算でもデータサイエンスが実装できるようになりました。
次にクラウド(クラウドサービス、クラウドコンピューティングともいう)の進化もデータサイエンスに大きく貢献しました。クラウドとは、インターネットを経由したコンピュータの利用です。必要な時に必要なレベルのコンピュータを利用できます。データベース、ストレージ(データの保存領域)、アプリケーションなども利用できるため、多額の初期投資を避けることができます。Amazonの「Amazon Web Services(AWS)」やGoogleの「Google Cloud Platform」が有名です。従量課金制ですが、一般の人でも割安で利用できるサービスもあり、個人でデータサイエンスを実行する人の多くが利用しています。
3つ目の進化は?
3つ目はアルゴリズムの進化です。「ベイズ統計」のように古くからある概念が、近年のデータサイエンスに応用されることでビジネスに大きく貢献する例もあります。
一方で、「ディープラーニング(深層学習)」に代表される新しいアルゴリズムが次から次へと発明されていることが、データサイエンスのビジネス活用を推進しました。新しいアルゴリズムは研究者の間で共有され、自分たちが保有しているデータの分析に適用されます。解析や予測などの数理モデルに活用されて、より精度の高いモデルを構築することができ、データサイエンスがビジネスに貢献できるようになりました。これらのアルゴリズムは「ライブラリ」として広く共有されます。クラウド上で公開されたり、Pythonなどのプログラム言語から呼び出せるような形で、誰もが利用できるようになっているものも多くあります。
このように新しいアルゴリズムや分析手法がグローバルに共有されることにより、より研究が進み、日々進化し続けています。コンピュータなどのハードウエアだけではなく、アルゴリズムというソフトウエアも高速で進化して、データサイエンスのビジネス活用を後押ししています。
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