「第2次世界大戦以来の食糧危機」国連が警告の訳 穀倉地帯ウクライナの戦争が広げる飢餓の連鎖
国連世界食糧計画(WFP)のトップは3月29日、ウクライナでの戦争が「第2次世界大戦以来、目にしたことのない」大惨事を地域の農業と世界の食糧・穀物供給にもたらしていると警告した。
「大惨事に大惨事が重なっている」。WFPのデイビッド・ビーズリー事務局長は国連安全保障理事会の会合でこう述べ、ウクライナは世界の穀倉地帯からブレッドライン(パンの配給を受ける人々の列)に変わったと付け加えた。「このようなことが起こりうるとは、私たちは夢にも思わなかった」。
国連安保理では、ウクライナの深刻な人道状況に関する毎週の緊急会合が定例化している。29日の議論では食糧難に加え、現在起こりつつある農業危機がもたらす広範な影響が焦点となった。
食品入手そのものが困難に
ビーズリー氏によると、ウクライナとロシアは世界の小麦の30%、トウモロコシの20%、ヒマワリ油の75〜80%を生産。WFPは世界で1億2500万人の食料支援に必要な穀物の50%をウクライナから購入しており、食糧・輸送・燃料価格の高騰から活動費が毎月7100万ドル増加しているという。
WFPは3月下旬、ウクライナの人口の少なくとも45%が食糧難に直面し、大人は子どもに食べさせるために食事を抜いたり、食べる量を減らしたりしていると報告した。
農民はトウモロコシの作付け時期に作物の世話をするのではなく、兵士となってウクライナの最前線で戦っている。ロシアとウクライナからの肥料製品の不足から収穫量は50%減少する可能性がある。
エジプトやレバノンといった国々はウクライナに穀物の80%以上を依存しているとビーズリー氏は述べた。農業に対する戦争の影響はもはや食品価格の高騰だけでなく、各国がロシアとウクライナの供給減を埋め合わせられなければ、食品入手難に発展するおそれがあるという。