コロナ禍で激売れした「高級ブランド」の仕掛け コロナ前より売上高伸ばしたLVMHの凄み

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長年エルメスがサヴォワールフェールの継承に力を注いでいる中、LVMHも同様の取り組みをかなり強く前面に押し出してきたのだなと感じましたが、アクションを取るだけでなく、いかにわかりやすく、エンドユーザー、あるいは潜在的な消費者まで届く形で、日常的に継続的に発信するかという部分の効果も昨年度の業績に寄与しているのかもしれません。

「ファッションユナイテッド(FASHIONUNITED)の記事によると、LVMHではまた、今年1月に世界で初めてフランスで始まった「衣服廃棄禁止令」による影響も少ないとしています。その理由は市場でのニーズを精確に把握し、品薄になりこそすれ在庫が余る状態にならないよう以前からコントロールを強化しているからだとしています。

値下げをすることでブランド価値の下がるラグジュアリーブランドの場合、在庫処理がほかのブランドと比べて困難だということで2017年にバーバリーが40億円以上相当の在庫を処分していたことがスキャンダルになりました。

が、昨年11月に逝去したルイ・ヴィトンのディレクターを務めたデザイナー、ヴァージル・アブローは、デザインありきではなく、過去のコレクションの残りの生地や皮の切れ端からデザインを組み立てていたそうです。

在庫管理のためにAI技術に投資するブランド

厳密な在庫管理のため、グッチやサン・ローランを保有するケリングはAI技術に投資するとしており、2020年の時点でエルメスは「アップサイクリング」(創造的な再利用)の過程で生まれた3万9000点もの商品を販売しているとのことですが、こういったサステナブルな側面での規制への対応も今後進化を遂げていくことでしょう。

コロナ禍におけるファッション業界の変化は、高級市場以外でも起こっています。フランスに来たことがある方はご存知かもしれませんが、フランスでは年2回、「ソルド(セール)」が実施されます。お店によってほかの時期にも値下げするところも増えてきましたが、期間は国によって指定されており、今年は1月12日から2月8日まででした。

旧シーズンの商品在庫がほぼ必ずソルドになるので、ソルド開始前にお店に通い目当ての商品を確認しておく、なんていう話もかつてはよく聞きました。が、今回のソルドは難航したようです。ジャン・カステックス首相がテレワークの義務化を発表した期間が1月3日から2月2日ということで、ソルド期間に見事に重なってしまったのです。

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