コロナ禍で激売れした「高級ブランド」の仕掛け コロナ前より売上高伸ばしたLVMHの凄み
ユロップ1(Europe1)の報道によると、やはり街中に出る人が激減したことで、2019年に比べチェーン店では客足が30%近く減ったと回答しています。総売上高は8%低下しました。独立店はさらに厳しく、020年冬のソルドに比べ総売上高が最低でも20%低下したところが半数に上りました。
フランス衣料連盟事務局長によると、ソルド後半の2度目の値下げも89%の店舗にとって何の効果もなかったとのこと。同報道は、テレワーク、インフレ、ウィルスへの恐怖のほかに、特に首都圏では観光客の不在が大きな要因だったと分析しています。
毎回ソルドの初日は開店前に客が列を作るという個人商店が、今期は隣接する薬局に感染テストのために人が並んでいるだけで自分の商店に並ぶ人は皆無だった、と嘆いているニュースもありました。
「ソルドで購入した服にはウィルスが付着しているか?」というサイトも見られ、やはり普段より人が集まる実店舗でのソルドに不安を覚える人も多かったことが窺えます。
コロナ前より来客が増えたモール
これに対して、テレワークが吉と出たのが、パリ西部のヴェルサイユ近郊にある約2万4000平米のアウトレットモール「ワン・ネーション・パリ」です。同モールでは2021年の少なくとも2カ月の営業日で前年比28.4%の来客数の増加があったと発表しました。
アニエス・ベー、ケンゾー、ナイキなど国内外の400近くのブランドが入る同モールには、2021年にも16店舗が新規にオープン。来客数は2019年と比べても増加しており、ロックダウンによる営業停止日の予定がまだない2022年にはコンスタントに増えるとの見通しとしています。ラ・ガゼット(La Gazette)によると、現に今期のソルドでも毎週56%〜76%の売り上げ増加を記録、1500台分の駐車場が満車になっているのも目撃されたとのこと。
ファッションユナイテッドがその理由として挙げているのが、テレワークです。モールのあるパリ西部の住民の購買力が国内平均の2倍と高いうえ、もともとこの地域は住宅が多くテレワークでほかの地域に出なくなった人たちがモールへ訪れており、これが客数の増加につながりました。オフィスエリアにある店舗が軒並み打撃を受けているのと逆の現象が起こっているわけです。
コロナ禍を経て人の動きや嗜好が変わったことは、ファッション業界に大きな変化をもたらしています。その中で企業やブランドが生き残っていくには、従来の発想にとらわれず、変化を前向きに捉えて行動していくことが求められているようです。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら