コロナ禍で激売れした「高級ブランド」の仕掛け コロナ前より売上高伸ばしたLVMHの凄み

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また、バイヤーがショーの期間にこぞって仕入れをするよりも年間を通して好きな時に購入するやり方が増え、ショーは商取引の場所から、SNSやニュースで拡散されやすいブランドアピールの機会に転換。コロナ禍ですべての人にショーが「開かれた」ことによって、モードの世界の商取り引きも変化したわけです。

売上高はコロナ前より2割上昇

こうした中で、圧倒的な強さを見せつけたのが、高級ブランド世界最大手、フランスのLVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンです。同社が1月末に発表した2021年12月期の決算では売上高が前年比44%増の642億1500万ユーロ(約8兆2600億円)と過去最高を記録しました。これはコロナ前の2019年と比べても20%増の水準です。

主力ブランドのルイ・ヴィトン、クリスチャン・ディオール、フェンディ、セリーヌ、ロエベによるファッションと革製品が好調だったほか、1年前から同グループとなっているティファニーの効果もあってジュエリー部門が大幅に拡大。モエ・エ・シャンドン、ヴーヴ・クリコ、シャトー・シュヴァル・ブラン、ルイナールなどのシャンパーニュ、ワイン、スピリッツ部門も業績を押し上げました。

唯一、トラベルリテール(免税店)だけが海外旅行の低迷により思うように伸びていないとのことですが、ベルナール・アルノー会長兼CEOは、同グループが2022年もラグジュアリー市場で進化を遂げるいいポジションにいる、とコメントしています。

LVMHの会長兼CEO、ベルナール・アルノー氏(写真:Bloomberg)

その秘訣について同氏は、コロナによる厳しい環境の変化にチームが柔軟に対応しながら特に顧客との関係を維持し、つねに夢を見せ続けることができたことだと語っています。

加えて、世界をよりよくするための活動にも尽力し、2021年はグループも各ブランド・メゾンもビオダイバーシティ(生物多様性)や自然保護、サヴォワールフェール(職人技、匠の技)の保存のため多くのアクションを取ったというコメントもありました。

確かにパリ市内でもLVMHによるサヴォワールフェール関連ポスターを目にし、フランス語プラットフォームのSNSでサヴォワールフェールにフォーカスしたディオールのブランド広告が流れてきた記憶が複数回あります。

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