設置費用150億円、東海道線「村岡新駅」の課題 藤沢・鎌倉両市長と湘南モノレール社長に聞く

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さらに、一体開発の観点に立てば、「村岡・深沢の最先端医療と旧鎌倉エリアの歴史遺産を組み合わせた医療ツーリズム(医療インバウンド)を推し進めることが、藤沢・鎌倉両市にとって大きな誘客要因・財源になる」(地元関係者)といったアイデアも見えてくる。

このようなエリアマネージメント的な視点からグランドデザインを描いていくことは、事業の経済効果を高めるうえで極めて重要だが、こうした部分に関しては、やはり国や県のリーダーシップが不可欠であろう。

湘南モノレールが果たす役割は?

なお、まちづくりの成功には交通事業者の協力が不可欠であるが、村岡・深沢における重要なプレイヤーの1つである湘南モノレールの社長が、3月31日付で交代した。2015年以降、同社を率いてきた尾渡英生氏が、湘南モノレールの親会社である「みちのりホールディングス」が新たに株式取得した佐渡汽船(新潟県佐渡市)の社長に異動し、小川貴司氏(前職は常務取締役)が新社長に就任した。

小川氏は、湘南モノレールの湘南深沢駅について、「深沢整備事業地の東側の正面玄関というべき場所に位置しているが、駅の構造はモノレールが開業した1970年から大きく変わっていない。新型コロナ感染症の影響が先行き不透明ではあるものの、新市庁舎が開庁する予定の2028年まであまり時間が残されておらず、駅施設の増改築・バリアフリー化の検討・推進は喫緊の課題であると認識している」と話す。

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そのうえで、同駅と新駅の関係について、「村岡新駅と湘南深沢駅からの2次交通をどう整備していくかも課題である」と述べ、「みちのりグループでは、各地でデジタル技術を駆使した最先端モビリティの実証実験を積み重ね、導入も進めている。湘南モノレールでも国土交通省が全国で6件を採択した『人流データを活用した地域課題解決モデル事業』として『情報提供を活用したIMS(Intelligent Mobility Service)実証』を実施し、リアルタイムでの混雑情報提供を行うなどの取り組みを進めている。今後、村岡・深沢を含む沿線エリアにおいて、これまでの実績・知見を活用していく可能性があるのではないかと考えている」と意気込みを語る。

地元の交通事業者として湘南モノレールが、今後、村岡・深沢のまちづくりにどのような役割を果たしていくのか、引き続き注目していきたい。

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森川 天喜 旅行・鉄道作家、ジャーナリスト

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もりかわ あき / Aki Morikawa

現在、神奈川県観光協会理事、鎌倉ペンクラブ会員。旅行、鉄道、ホテル、都市開発など幅広いジャンルの取材記事を雑誌、オンライン問わず寄稿。メディア出演、連載多数。近著に『湘南モノレール50年の軌跡』(2023年5月 神奈川新聞社刊)、『かながわ鉄道廃線紀行』(2024年10月 神奈川新聞社刊)など

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