設置費用150億円、東海道線「村岡新駅」の課題 藤沢・鎌倉両市長と湘南モノレール社長に聞く
東海道線村岡新駅(仮称)を中心に藤沢市村岡地区の国鉄湘南貨物駅の跡地(約8.6ha)と鎌倉市深沢地区のJR鎌倉総合車両センター跡地など(約31.1ha)を一体開発する計画は、2021年2月、JR東日本と神奈川県、藤沢市、鎌倉市の4者が事業費などに関する覚書を取り交わし、新駅設置が正式決定した。開業は2032年頃になる見通しだ。
また、2022年3月初めには、深沢の土地区画整理事業の都市計画決定・変更が行われ、3月28日にはJRと県、藤沢市、鎌倉市が駅の設置と自由通路の整備に関する基本協定書を締結した。計画はいよいよ実行段階に入る。しかし、新駅の設置および村岡・深沢両エリアの開発に関しては、現段階に至っても、今なお市民からの根強い反対の声もある。
新駅の構想については2019年2月13日付記事(「東海道線『村岡新駅』構想、藤沢―大船間に浮上」)でも紹介した。本稿では、松尾崇鎌倉市長、鈴木恒夫藤沢市長および、今年3月31日より地元の交通事業者である湘南モノレールの新社長に就任した小川貴司氏に話を聞くなどし、今後の計画の成否を占ってみたい。
新駅周辺、藤沢市と鎌倉市はどう開発?
まず、今回の計画の概要を整理すると、村岡新駅は東海道線の大船駅―藤沢駅間の中間地点からやや藤沢駅寄り(藤沢市村岡東)に開業予定であり、新駅に隣接する国鉄湘南貨物駅跡地において、藤沢市は以下のような開発構想を掲げている。
「新駅設置予定地付近には、武田薬品が創薬・次世代医療などの分野の企業に開放する研究施設・湘南ヘルスイノベーションパーク (湘南アイパーク・藤沢市村岡東)や、2021年に先端医療センターを開設した湘南鎌倉総合病院(鎌倉市岡本)などがすでに集積している。また、藤沢市はさがみロボット産業特区の対象地域であることや、神戸製鋼所などのものづくり・研究開発の事業所もあることから、日本を代表する先端分野の研究開発拠点とする」(鈴木市長)
この村岡地区の南東側に広がるのが鎌倉市深沢地区の遊休地(旧国鉄清算事業団用地およびJR鎌倉総合車両センター跡地)である。鎌倉市はこの場所に市役所本庁舎や消防本部・消防署を移転させるほか、スポーツ施設等を建設する計画だ。まちづくりのテーマとしては「ウェルネス」を掲げ、「ウォーカブルなまちづくりを目指す」(松尾市長)という。
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