設置費用150億円、東海道線「村岡新駅」の課題 藤沢・鎌倉両市長と湘南モノレール社長に聞く
また、藤沢市は「藤沢市都市マスタープラン」において藤沢駅周辺、湘南台駅周辺、辻堂駅周辺、健康と文化の森(慶応大学湘南藤沢キャンパス周辺)、片瀬・江の島、村岡新駅周辺の6カ所を、将来の藤沢市を支える6つの都市拠点として今後の開発対象に掲げている。このうち、健康と文化の森は、事業化されれば相鉄いずみ野線の延伸を前提として、村岡と同様にほぼ一からのまちづくりを行うことになるなど、巨額の財政負担が見込まれる。
鈴木市長は、「複数の都市拠点の開発を同時に進めれば財政への影響も懸念されるが、中長期的に財政負担を平準化する。また、開発が進めば後々の税収増も見込まれる」とするが、市の財政見通しが必ずしも明るくない中、村岡の開発をどう優先順位付けるかは、やはり大きな課題である。
両地域の一体的開発は可能なのか
村岡・深沢の開発におけるもう1つの大きな課題は、今後、真の意味での「一体開発」が進められるかということだ。30年以上も前に村岡新駅構想が最初に浮上して以来、これまで話がまとまりそうになっては、そのたびに立ち消えになってきたのは、鎌倉市においては「なぜ、藤沢市域に設置される新駅に鎌倉市が資金を拠出するのか」、藤沢市においては「広大な空き地を開発し、大きな経済効果が見込まれる鎌倉市と同額を新駅へ拠出するのは不公平」といった互いを牽制する声が、少なからずあったことによる。
こうした損得勘定をいったん脇に置き、より大きな果実を得るべく、一体開発に向けて進みはじめたはずなのだが、現状、村岡は村岡、深沢は深沢で別々にまちづくり協議会を立ち上げ議論が進められているなど、両市を横断する視点に立った議論が十分に行われているとは言いがたい。その結果、現状も渋滞が多発しており、まちづくりが進めばさらに交通量が増加するであろう周辺道路の整備などに関しても、抜本的な対策が見えてこない。
この点については、「村岡新駅と周辺開発に関しては、これまで30年来、検討してくる中で紆余曲折があったのは事実。しかし、村岡・深沢は首都圏にあって羽田空港からも近い貴重な場所であり、この場所の発展は日本の発展にもつながっていくと考え、これからしっかりと歩調を合わせる努力をしていく」(松尾市長)、「計画はまだスタートしたばかり。具体的に動き出せば、一体的に動く方向に近づいていくだろう」(鈴木市長)と、両市長ともに現段階において歩調が合っていないことと、今後の協調の必要性を認める。
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