設置費用150億円、東海道線「村岡新駅」の課題 藤沢・鎌倉両市長と湘南モノレール社長に聞く
ここで問題になるのが、巨額の財政負担である。新駅の設置費用約150億円は、神奈川県が30%、JR東日本が15%を負担し、鎌倉、藤沢の両市が27.5%ずつ(各約41億円)を負担する。
鎌倉市側について見ると、今回の計画で最も大きな財政負担となるのが、深沢の土地区画整理事業費の205億円であり、さらに村岡と深沢の間を流れる柏尾川に架橋する橋梁(シンボル橋)の設置費用の約15億円や、市役所の移転費用の約170億円等も、これとは別に負担することになる。
これだけ巨額の支出に市の財政が耐えられるのかについて、松尾市長は以下のように話す。
「深沢の土地区画整理事業費205億円には、国庫補助金からの交付が35億円、保留地処分金が134億円見込まれ、市の実質的な負担は残りの36億円である。また、シンボル橋の設置費用15億円のうち市の負担は7億円(8億円は国庫補助金)、新駅設置の費用41億円も市の負担は4億円(37億円は、深沢の保留地処分金を充てる)であり、市の一般財源からの拠出は合計47億円である」
「この47億円という数字は鎌倉市の約600億円の一般会計からすると必ずしも過大な財政負担ではなく、加えて深沢の街開きが行われる予定のおよそ10年後以降、毎年最低でも約16億円の税収増が見込まれることから、3年で投資分が回収できると見込んでいる。また、市役所新庁舎の整備費用に関しては、今のところ約170億円と試算しているが、今後、計画の進捗とともに精査を進め、国庫補助金の活用や市債の発行などによる負担軽減も検討する」
地元関係者から疑問の声も
しかし、これに対しては、「深沢は土壌がゆるく、基礎地盤まで25~30m程度杭打ちしなければならないことなどを考慮すると、想定されている保留地処分金を確保できるか疑問だ。また、藤沢市域の駅の設置費用に深沢の保留地処分金を当てることが、そもそも許されるのか疑問」(地元関係者)といった点を問題として指摘する声も聞こえてくる。
さらに、市役所本庁舎の移転には、市議会において市役所の位置を定める条例(地方自治法4条1項に基づく)の改正議決(
一方の藤沢市は、村岡地区開発による経済波及効果(直接効果)を年間約540億円と試算しており、新駅を中心にJR藤沢駅周辺まで地価上昇が見込まれるとする。しかし、そもそもの開発対象エリアが約8.6haと狭く、その効果を疑問視する声もある。
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