アルピナ信奉者が驚いた「BMWへ商標譲渡」の意味 57年の関係を整理した先に2社各々の道筋が見える

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もう1点、BMWにとって選択肢に入っていたはずと想像されるのは、アルピナを研究・開発・製造部門など含め会社ごと買い上げてしまうことだ。アルピナの本拠地があるブッフローエは、BMWの研究開発センターがあるミュンヘン中心部から100km、ドイツならクルマで1時間の距離にある。ここに従業員300人が勤務している。

しかし自動車への熱意を源泉とする家族経営を長年貫いてきたアルピナ・ブルカルト・ボーフェンジーペン有限/合資会社にとって、それは決して受け入れられる提案ではなかっただろう。

アルピナ創業家の事情

自動車事業を立ち上げた創業家2代目、ブルカルト・ボーフェンジーペンにとっての夢は「自動車メーカーになること」であり、ベースモデルをBMWにしながらもゼロからクルマを作れる体制を整え、ドイツ連邦自動車運送局から自動車メーカーとしての認証を得るに至った。

ブルカルトの熱意を受け継ぐふたりの息子、アンドレアスとフローリアンが現在は共同でCEOを務める。長男のアンドレアス(59歳)はアルピナを手掛ける前にエンジニアとしてBMW AGに就職し、ドイツ・ツーリングカー選手権にドライバーとして参戦した経歴を持つ。その後ドイツの耐久レース選手権にアルピナが復帰すると、自ら監督として指揮を採った筋金入りのカー・ガイだ。最近になって、ついに85歳のブルカルトから、現在85歳のブルカルトから生産車両の仕上がりを最終的にチェックする役割を受け継いだといわれている。

アルピナをタイプライターの会社からBMWのチューニング・パーツを扱いレースを戦う会社に変えたブルカルト・ボーフェンジーペン(写真:ニコル・オートモビルズ合同会社)
ADAC GT-Masters Round 7で優勝しトロフィーを掲げるアンドレアス・ボーフェンジーペン(写真:ニコル・オートモビルズ合同会社)

つまりボーフェンジーペン家に自動車づくりに携わる事業を家業として諦めたくない、という強い意志があったことが、アルピナの商標のみをBMWに譲渡する決断に至らせたと想像される。ブルカルト・ボーフェンジーペンの目が黒いうちに、将来の方向性を固めておきたいというタイミングの問題もあったのではないだろうか。

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