人に相談すると「心が不安定になる」驚きの理由 気持ちをポジティブにする自己肯定感の作り方

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実際に、人に悩みを何度も相談すると人間関係が悪化してしまう傾向があることがこれまでの研究で明らかにされています。

つまり、悲しいときによりよい心の状態を求めて周りに相談しようとするものの、実際に相談してしまうと、人間関係に悪影響が出てしまい、かえって心の不安定につながってしまうのです。

それでは、人に相談するのが得策でないとすると、一体どのように、ネガティブに走りだした「心の声」と付き合っていけばいいのでしょうか?

「リトル本田」の真実

この難問に対するヒントがサッカー元日本代表の本田圭佑選手の名ゼリフに隠されていました。

本田選手は、言わずと知れた日本を代表するサッカー選手。サッカーのワールドカップに3大会連続で出場し、海外でのプレー経験も豊富です。プレーだけでなく、印象的なメディア・パフォーマンスでもファンを魅了してきました。

その本田選手がイタリアの名門クラブACミランへ移籍を決めた2014年1月。会見での記者とのやりとりが注目を集めました。当時、数多くあったであろうオファーの中から、どうしてACミランを選んだのかと聞かれ、本田選手は英語でこう答えました。

That’s easy, I just asked my little Honda in my heart “Which club do you want to play?”
(それは簡単でした。私の心の「リトル本田」に「どのチームに行きたい?」と尋ねたのです。)

非常に栄誉な名門チームへの移籍ニュースに加えて、独特のキャラクターがたっている名コメントだったので、すぐにさまざまなメディアで取り上げられました。

いい大人が、心の中の小さな自分に話しかけて、重大決定をしたなんて。面白おかしく「迷言」として話題になっていましたが、実はここに、ネガティブな「心の声」と向き合う効果的な方法が隠されています。

それは、自分の気持ちに距離をとり、見つめなおしてみること。「距離(ディスタンス)をとる」という意味で、「ディスタンシング」(distancing)と呼ばれる心理メソッドです。

「リトル本田」という具合に、自分の心を他の誰かのように見立てて、自分を外側から見直すような視点をとる。まさに、ここで言うディスタンシングの技法の一つといえます。

ディスタンシングによって、自分の心に「距離」を置くことができて、プレッシャーやマイナス思考、くよくよと悩むネガティブな気持ちなどのスパイラルから抜け出し、より建設的に考えるきっかけができる。

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