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日本の鉄が生き残る道 鉄鋼|トヨタ・日鉄バトルの深層

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好業績下でも高炉休止を緩められないのは、難題が待っているからだ。

夕日に照らされた呉の高炉。2021年9月29日早朝に約60年の操業を終えた

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広島・呉は高炉を休止。23年に拠点を閉鎖

「今朝、日新さんの高炉の火が消えた」。広島県呉市、呉駅前でタクシーに乗り、「製鉄所へ」と告げると運転手はそうつぶやいた。この日、2021年9月29日未明、「日新さんの高炉」が約60年の操業を終えていた。

日本製鉄が17年に子会社化した日新製鋼を吸収合併したのは20年のこと。旧日新製鋼・呉製鉄所は「日本製鉄の瀬戸内製鉄所呉地区」となったが、地元では今も「日新さん」のようだ。

高炉とは鉄鉱石を原料炭(石炭)由来のコークスで還元して鉄を造り出す、鉄鋼メーカーの象徴だ。呉には2基の高炉があったが、2基とも操業停止を意味する休止となった。23年9月末に拠点自体が閉鎖される。協力会社まで含めると約3000人の雇用が失われる。

日鉄は昨年9月末に和歌山でも高炉1基を休止。25年3月末までには鹿島(茨城)の高炉1基を止める。鋼板や鋼管などを造る下工程も日本各地で生産設備削減を行っている。JFEホールディングス(HD)も23年9月をメドに京浜(神奈川)の高炉休止を発表済みだ(下図)。

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