ENEOS和歌山製油所の閉鎖発表の翌日、知事は本社へ直談判した。
ミカン畑が広がる丘から海沿いを見渡すと、赤茶けた工場が広がる。2.5平方キロメートルほどの広大な敷地を作業員の運転するトラックがひっきりなしに行き来する。
和歌山県有田(ありだ)市、大阪の中心部から南へ70キロメートルほど離れた人口3万人弱の地方都市が揺れている。市を支えてきた基幹産業の拠点であるENEOSホールディングスの和歌山製油所が、2023年10月をメドに閉鎖されることが決まったからだ。
和歌山製油所の生産能力は同社の原油処理能力の7%に相当する1日当たり12.8万バレル。
1941年の操業開始から、製油所は80年にわたって「当たり前のようにそこにあった」(地元住民)。市の盛衰はこの産業とともにあったといっても過言ではない。住民は「釣りなどのレジャーも盛んで、若い人の活気が満ちていた」と、重化学工業が盛んだった昭和の時代を懐かしむ。
しかし、人口減少による全国的なガソリン需要の縮小や脱炭素化の潮流は容赦なく襲いかかる。
ENEOSをはじめとする石油元売り各社は精製能力の縮小を余儀なくされている。ENEOSはこれまで室蘭(北海道)と知多(愛知)での製造を停止。根岸(神奈川)でも22年10月に1ラインを廃止する。
同社の大田勝幸社長は1月25日の記者会見で「サプライチェーンの見直しは続く。ここ(和歌山の停止)で終わりになるかはわからない」と話した。
発表翌日、知事の直談判
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