日米同盟と日中関係のバランスをどうとるか

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 その場合、どこまで日米同盟を深化させるのか、政治・経済・軍事大国になった中国とどういう距離感で付き合うか、という複雑な選択を絶えず迫られることになる。

米国の世界戦略は何か。米国の安全保障政策に影響力を持つとされる、パトリック・クローニン米国安全保障センター・東アジア太平洋研究部長は、10年7月8日に開催された「米国の戦略的抑制と今後の日米同盟」という講演で次のように発言した。この指摘は今でも有効だろう。

「米国が軍事的、政治的に退潮に向かう中で、世界は多極化の時代を迎えている。もしかすると極すらなくなる世界が来るかもしれない。オバマ政権は財政再建のために軍事費を減らし米軍を縮小する政策なので、米国が安全保障などの国際公共財を世界に提供することが困難になっている。実際にアフガニスタンでは米国単独ではなく、欧州諸国を中核とするNATO軍(北大西洋条約機構軍)として戦っている。

世界は歴史的な転換期を迎えている。第一は世界経済のパワーシフトである。14年にはBRICs諸国のGDPが世界のGDPの27%を占め、米国や欧州を上回るとみられ、これまでの米欧を中心にした経済構造が崩れる。第二は国際公共財を誰が提供するのかという問題である。第三は環境・資源をめぐる争いである。こうした危機の下、日米関係は混乱の9カ月(鳩山政権時代)を経て、正常化されるだろう。

米国と日本は同じ価値観を共有しており、安全保障、経済の分野でグローバルに協力する必要がある」--クローニン氏は、今後の日米同盟の方向について、「日米同盟は05年の2プラス2協議(日米両国の外務・防衛担当大臣による協議)が基本になるべきだ」と発言している。

05年の「2プラス2合意」の内容は、外務省のホームページに、「日米同盟 未来のための変革と再編(仮訳) 2005年10月29日」として掲載されている。

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