「戦争」「崩壊」「混乱」 今年は為替が荒れる--ケネス・ロゴフ ハーバード大学教授

過去3年間、金融危機の影響で為替相場は乱高下を繰り返してきた。今年、世界の為替相場はどこに向かって進むのだろうか。私は、「通貨戦争」と「通貨崩壊」、そして「為替相場の混乱」が複合的に起こると予想している。ただ、それによって景気回復の流れが終わることはないだろうし、まして世界が終焉を迎えるわけでもない。

まずは、現在の変動相場制が全体として非常にうまく機能してきたことを認めるところから始めるべきだ。複雑なリスク要因の存在や、各国独自の政策を前提として、「なぜ大きな為替相場の変動が起こるのか」を論理的に明らかにすることが現在の大きな課題といえよう。たとえばアメリカは、金融危機の震源地であったにもかかわらず、初期の段階ではドル高が進んでいる。

為替相場が不思議な動き方をした際にも、変動相場制はショックを吸収する役割を果たしてきた。金融危機後のユーロの急激な下落がドイツの輸出を支え、それによってユーロ圏は生き延びることができた。

他方、巨額の外貨準備を持ち、債務も比較的少なかった途上国においてさえ、為替相場は崩壊してしまった。その後、途上国の為替相場は急激に反転している。これらの通貨は当初、金融危機後の世界貿易の落ち込みを反映して下落した後、世界貿易の回復を反映して上昇した。この為替の変動によって景気の悪化を避けることができた。

金融危機は固定相場への移行を促すことにはならなかった。むしろギリシャ、ポルトガル、アイルランド、スペインなどの国は、共通通貨のユーロにくぎ付けされているため、為替相場の下落によって競争力を獲得することができなかった。

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