足場レンタルなど、はやりの節税スキームが次々に潰される中、富裕層が打つ次の一手とは。
「リスクの低いお手軽系の節税術は、ほとんど潰されちゃいましたね」
個人で数十億円の資産を持つ上場企業の経営者は、そう言って肩を落とす。
これまで新たな節税手法を編み出しては税務当局にことごとく封じられるという、“いたちごっこ”を演じてきた富裕層たち。その過程で「最も泡を食った」(経営者)のが、米国不動産を使った節税術への規制だった。
米国不動産を活用した節税術とは、減価償却の仕組み(簡便法)を巧みに利用したものだ。
まず米国の木造中古住宅は、取得費用を最短4年で償却することができる。米国では建物の価値が7割前後を占めるため、多額の償却費を4年間のうちに計上でき、課税所得をその分圧縮することができるわけだ。
こうした節税術は2020年度税制改正で封じられたが、「どうせ制度改正以後に取得した不動産が規制の対象になるだろうから、自分は逃げ切れると高をくくっていた」とこの経営者は語る。
ところが、ふたを開けてみれば税務当局の姿勢は予想以上に厳しかった。過去に取得した不動産を含めて、21年分以降は「スピード償却」ができないよう規制してきたのだ。
結果、この経営者は、21年と22年の2年分の節税が“ご破算”になってしまったという。
国が促す国内設備投資
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