相続財産を減らし、その評価を下げて、賢く相続するテクニックを伝授する。
「相続対策はほぼ完璧。老後の心配事が1つ減った感じです」。ある中小企業の社長は自慢げに語る。
現在65歳のこの社長が相続対策を始めたのは10年ほど前だった。リーマンショックの影響を受け、会社の業績が悪化。「経営的には苦しい局面だったが、相続対策には絶好のタイミングだった」(前出の社長)と振り返る。
というのも、この社長が保有する資産の大半が自社株だったからだ。業績が悪くなれば、その分自社株の評価は下がり、子どもが受け取る際の税金も少なくなる。
この機を逃すまいと親族を集めて家族会議を開き、持っていた株を息子に贈与。これにより、手元に残ったのは、「死ぬまでに使い切れる現金だけ」(同)となった。
同時に、社長の両親が保有していた株も息子に贈与し、2世代にわたる相続を済ませてしまったというわけだ。
この中小企業社長のように、相続がやってくる前から対策を講じることで、将来の税に関する悩みは減らすことができる。ただし54〜55㌻でお伝えしたように、今後は相続・贈与税が一体化される見通し。となれば、2022年のうちに節税対策を講じておくべきだろう。
相続対策の基本とは
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