外出が制限されたコロナ禍により、富裕層の生活や行動は激変した。
東京・港区のタワーマンションの一室。その部屋の主である40代の男性は、ワイン片手にパソコンの画面をうっとりとした表情で見つめていた。
「昔から絵が好きで、その延長としてデジタルアートに興味を持ちました。複製が多い中で本物を持っているという優越感と、この先アーティストが成功していく姿を見ることができるという期待感の両方を満たしてくれるんです」
この男性は、仲間とともに創業したIT系の会社が上場を果たし、数十億円規模の資産を手に入れた富裕層。以前から絵画などの美術品には目がなかったが、今はまっているのが「NFTアート」と呼ばれるデジタルアートだ。
NFTとはNon-Fungible Tokenの略語で、「非代替性トークン」と訳され、簡単に言えば「電子証明書」のこと。暗号資産(仮想通貨)にも用いられているブロックチェーンの技術を使い、芸術作品のアーティストの情報などを記載。その作品が世界で唯一無二の“本物”であることを証明するものだ。
これが絵画などの美術品に付与されたものが、NFTアートだ。複製や改ざんが容易だったデジタルアートがNFTとひも付いたことで希少性を持ち、資産性が生まれたというわけである。2021年に100ドルで出品されたアーティストの作品が6934万ドル(約75億円)で落札されたことから一躍脚光を浴びた。
未上場株投資に走る若手
下図を見ていただきたい。これは、NFTアートの仕組みをまとめたものだ。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら